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大山詣りに行ってきました

「お恐れながら申し上げます」 第4回

誘われたはずなのに

 二重橋前駅から千代田線に乗って代々木上原まで、そこからは小田急線で伊勢原まで行きました。歩いて行くのが本式なのでしょうが、おじさんたちは集まったことに満足してしまっているので、そのような気概はありません。疲れてしまっているのか、バラバラに椅子に座ります。1年ぶりの旅行ですが、自由気ままです。

 行き先を決めたのはおじさんたちなのですが、行き方を把握してませんでした。代々木上原駅で「何に乗ればいいんだ?」と戸惑っていました。乗るべき電車は、目の前に来ています。気がつくまで待ってようかとも思いましたが、私も早く着いたほうがいいと思い、背中で教えてあげました。おじさんたちはカルガモの子どものように、無言で電車に乗り込む私の後をついてきました。もちろん、席はバラバラに座ります。しっかりと足腰を休めて大山に臨みます。

 伊勢原に着きました。歩きません。バスを待ちます。バスもいっぱいの人でした。引き続き座れる人は座り、立つ人は立つという自由勝手な旅行です。バスに揺られておよそ20分。大山に着きました。もちろん、ロープウェイに乗ります。バス停からロープウェイまで歩きますが、思ったよりも遠いです。

 道中、坂から見下ろす紅葉がきれいでした。おじさんたちは紅葉には目もくれずに、お土産屋さんに並んでいるものをチラチラ見ては、ブツブツ何かを言って、ケラケラ笑っていました。道の中ほどまで来ると、風で木の葉が擦れ合う音に混ざって、「寒い寒い」「遠いな」「疲れた」などの弱音が聞こえます。いつの間にか私が先導になっていました。私は誘われたはずなのに。

バス停前の鳥居

 ロープウェイ乗り場に着きますと、大勢の方が並んでおりました。気をつけなくてはいけないことは、目の前の列にすぐに並んではいけないということです。乗車券を買ってから、列に並ばないといけません。乗車券を買わずに列に並んでしまうと、券を買ってから並び直さなければいけません。おじさんたちは冷静に状況を判断し、無駄に列に並ぶことを避けました。悠々と乗車券売り場に向かう足取りは、疲れを感じさせませんでした。現金しか持ち歩かないおじさんたちは、乗車券を買うために並んでいました。