麹町の雑煮、目白のおせち

「二藍の文箱」 第8回

一門の数だけ雑煮がある

 せっかく思い出しかかったのだが、また記憶の回廊で足が止まった。

 おせちの料理はそれでいいとして、目白でのお雑煮。ないことはないと思うが、まったくもって思い出せない。先師桂三木助の田端のうちのもわからない。

 わたしが覚えているのは、三代目圓歌一門の雑煮と根岸の三平一門の雑煮でいずれも関東の雑煮だ。

 麹町での新年会は大師匠宅の座敷に、一門がぴたりと収まっていた。毎年弟子や孫弟子は増えるであろうが、まさにぴたりと。気になって調べてみると、麹町に住まいを構えたのは1967年(昭和42年)とあるので、弟子は四、五人だったはずだ。それが五十年の月日で座敷にいっぱいになるほどに。

 暮れの酒をひきずりながら、まず事務所で身支度をして、総領弟子の師匠歌司が座ったところで、あらためて新年の挨拶となる。おせち料理とおでんと雑煮。それが麹町の新年の定番で、お雑煮は大根、人参、鶏肉が割としっかり煮込まれている。

 かたやかつて大師匠圓歌と人気を二分した、先代林家三平師匠の根岸の一門の雑煮は、これぞ関東雑煮という雑煮で、おすましに餅と鶏肉、青菜、以上!という感じ。わたしも初席帰りにいまの桂三木助と連れ立って新年の挨拶に伺い、大きな盃のお屠蘇に口をつけ、根岸のおかみさんこと、海老名香葉子さんから直々にお年玉をいただき、お雑煮をいただいた。