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伎芸天

「くだらな観音菩薩」 第9回

呼ばれて飛び出た仏様

 てなわけで、今回の仏様は、前回の第8回で少しお話に出てきた、伎芸天(ぎげいてん)様です。

 シヴァ神が楽器を弾きながら楽しく宴会している時に、髪の生え際からポンッと飛び出してきたと言われております。まさしくワンダーランドです。

 髪の生え際から飛び出してきて、「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」と言ったか、「出まして来ましたアクビちゃーん!」と言ったかは定かではありませんが、なんて面白い設定なのかと舌を巻くわけですよ。

 シヴァ神に髪の毛があったから良かったものの、もし禿げ頭だったら、おでこの上の方からミチミチッと出てくる姿が壁画に描かれたはず。そして、「ほら勉強しないで遊んでばっかりいたら、おでこから伎芸天様が出てくるよ!」と、遊んでばかりいる子どもたちを脅す逸話として語り継がれたりするわけですからねぇ。

 ちょっと怖いですよね。

 お喋りな人が「あの人は口から先に生まれて来たんだよ」と言われるように、足の速い人が「あの人は足から先に生まれて来たんだよ!」と言われるみたいなもので。うわー、逆子だ~。

 ちょっと怖いですね。

 これを踏まえて考えると、噺家もへんてこな設定を考えて「あの人は〇〇だ!」みたいなことを言うと、個性も出るし、皆にも知ってもらえるし、良い考えだと思うなぁ。

 とりあえず私は、どんな設定にすれば良いだろう?

 例えば、初めて日本に渡って来た、アラン・アレクサンダー・ミルンさんが書かれた児童小説『くまのプーさん』に使われた栞が「この面白さを伝えたい」と思い、人間になった。それが、林家きく麿という落語家だ!――みたいな。

 設定どうでしょうか。これを1000年言い続けたら、本当のことになって、林家きく麿が読書の神様になるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。

 そしてテーマ曲は、「栞のテーマ」。

 ♪彼女が髪を指で~分けただけ、そこから~生まれる伎芸天♪