死語について

「すずめのさえずり」 第六回

死語について
古今亭 志ん雀

執筆者

古今亭 志ん雀

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冬の風物詩

 師走である。

 なぜ12月になると師匠が走るのだろうと思っていたが、どうやらこの師というのは「お坊さん」のことらしい。

 お坊さんが走る。なんだか一向一揆みたいでこわい。

 それにしても、今年の冬は寒くない。

 赤穂浪士の討ち入りの日は実際には雪ではなく雨だったという説もあるようだが、それはさておき江戸時代はミニ氷河期だったという話もあるし、昔の冬はさぞかし底冷えがしたことだろう。江戸時代の人じゃなくて良かった。

 毎年秋から冬にかけて必ず風邪をひき、それをきっかけに冬仕様の体に切り替わるようなところがあったが、今年はまだひいていない。

 体が丈夫になったわけではなく、単に本格的な冬の冷え込みが来ていないだけだろう。こうなると年明けが怖い。

 皆様も十分お気をつけてお過ごしいただきたい。

 さて、冬の風物詩といえば、鍋物に熱燗である。

 12月のお題一覧を見ると「白菜」「ネギ」「ほうれん草」「春菊」など、家庭菜園でもおなじみの鍋の具たちが並んでいる。

 か、語りたい……ネギの切れ端から根っこを生やして再生栽培に挑戦した話だとか、秋まき用のほうれん草の種でも春にまいたほうがはるかに良く育った話とか……。

 だが、だがまだ趣味の話はしないぞ。それは最後の手段だ。

 今回注目したのは鍋ではなく熱燗のほうなのだが、タイトルの「死語」に関わってくるのは熱燗ではない。

 熱燗は今も昔も熱燗であって、おそらく百年後も熱燗だろう。

 問題は「冷や」である。