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港家小そめの「コソメキネマ」 第4回
- 浪曲
例外
10年ほど前でしょうか、映画館で女優の桜町弘子(さくらまちひろこ)さんのトークショーがあり、出掛けて行きました。桜町弘子さんは、1956年に東映のニューフェイスとして映画界に入り、その後、東映の時代劇や現代劇に数多く出演された女優さんです。特に加藤泰(かとうたい)監督作品での出演が印象的です。
登壇された桜町さんは、映画と同じく、とってもチャーミングで素敵でした。話もとても面白く。
トークショーの後に、ロビーでサイン会がありました。本物の“東映城のお姫様”を目の前に、テンパる私に
「ゆうこさんて、漢字は裕次郎の裕?」と桜町さんの優しい問いかけが。
「ああああ~もう、漢字なんか何でもいいです~!!!」
日頃の頑固なこだわりを一瞬にして吹き飛ばす、スターの力。裕子さんへと書かれた桜町弘子さんのサインがうちにはあります(自慢です!)。
さて今月の映画ですが、ここはもちろん、桜町弘子さんの映画を。“加藤泰のミューズ”といわれた桜町弘子さんが主演した、加藤泰監督作品『骨までしゃぶる』です。
遊廓に売られた女性たちの話で、タイトル通り、骨までしゃぶりつくされる苦界の中で、桜町さん演じる主人公、お絹の純情さと明るさが映画の救いになっています。にっこりと笑った時の笑窪(えくぼ)がとっても可愛らしい。
明治が舞台の話ですが、形は変わっても厳しい現実は沢山あると思いますし、今観ても心に刺さるのではないかと思います。特に女性の方には胸に迫るシーンが多いのでは。映画館のスクリーンで見ていただきたい1本です。

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■今回の映画
『骨までしゃぶる』(1966年制作、加藤泰監督、88分)
▼骨までしゃぶる – 作品情報・映画レビュー(キネマ旬報WEB)
(毎月23日頃、掲載予定)