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入門

古今亭志ん雀の「すずめのさえずり」 第2回

入門

画:原田みどり

古今亭 志ん雀

執筆者

古今亭 志ん雀

執筆者プロフィール

すげえ顔ぶれ

 入門。師の門に入る。入学でも入塾でも入所でもない。実に重々しい響きである。

 それまで「師匠」という言葉は、漫画「るろうに剣心」の比古清十郎ではないが、なにかバトル物やファンタジーといった、フィクションの中にのみ存在するものであった。

 なぜこの世界に入ったのか?は、落語家なら何度も聞かれたことのある問いだろう。

 「落研出身?」とも必ず聞かれるが、私の体感では、周りの仲間でその流れなのは二割か三割というところ。

 他は就職に失敗、夢破れて、医者のすすめで、など様々なようだ。

 役者やお笑い芸人くずれ、じゃない、転向組はかなり多い。落研組と同じか、あるいはそれ以上かもしれない。

 私の場合は、恵比寿にある劇団「テアトル・エコー」の研修生、つまり養成所の生徒であった。

 「アニさん、エコーにいたんですよね。うちの子マジでかわいいんで赤ちゃんタレントにしようと思うんですけどどうでしょう」

 「エキストラやってみたいんですけど」

 などと相談されたことがあるが、たぶんそれは「テアトルアカデミー」と混同しているよ。

 そういえば君の子、結局赤ちゃんタレントにはなれたのかい。

 国内外のコメディを中心に上演するエコーは熊倉一雄さん、山田康雄さん、納谷悟朗さんといった声優界の重鎮も数多くいた老舗で(劇団の黎明期が海外ドラマ吹替えのそれと重なっていたため)、メンバーも多士済々であった。

 朗読の講師はスター・トレックのカーク艦長役でおなじみ、こちらもレジェンド声優の矢島正明さんだったし、ミュージカル「レ・ミゼラブル」1994年公演でマダムテナルディエを演じられた杉村理加さんのレッスンもあった。

 ……改めて書くとすげえ顔ぶれである。辞めたのはもったいなかったかな。もう一度入れてもらえないかな。その場合は落語のレッスンは免除でいいですか。

 研修生の先輩の中には、劇団員でも声優でもなく、国立劇場の養成所に進んで歌舞伎俳優になられた方もいるらしい。