こしらGPT師匠に、「落語の強み・弱み」を聞いてみた

「AIに落語は作れるの?」 第3回

八五郎とご隠居のAI落語を覗いてみよう

 よござんす! では、こしらGPT流に、小噺のサンプルを作ってみましょう。
 登場人物は、もちろん八五郎とご隠居。テーマは、「月見団子」です。

●場面:ご隠居の家、縁側で月を眺める二人

八五郎「ご隠居、今夜は団子の日だそうでして」
ご隠居「おお、八五郎。団子の日じゃなくて、中秋の名月じゃ」
八五郎「団子食いたいけど、バクチでやられちまって。だから月より前に、隠居の顔を見にきました」
ご隠居「しょうがないヤツじゃのう。では馳走するので、買うてきてくれんか」

(八五郎、戻ってくると袋にいっぱいの団子)

八五郎「ご隠居、買うてきやした。……あれ、袋が破れそうだ」
ご隠居「なんじゃこれは! 八五郎、そんなに買うたのか?」
八五郎「ええ、全部で三十個。ご隠居の金なんで……」
ご隠居「なんでそうなるんじゃ! まあよい。食べなさい」

(八五郎、団子をむしゃむしゃ食べる。食べ終わる頃、月が雲に隠れる)

八五郎「あぁ、腹がいっぱいだ。……あれ、月が見えねぇ」
ご隠居「うーん、しょうがない。月より満ちた、お前の腹でも見るか……」



 実際には最初からこのオチにならず、「八五郎がお金を持っている/持っていない」「買ってきた団子が少ない/多い」など、数十回の設定変更を行い、この小噺を作ってもらいました。

 八五郎とご隠居のやりとりのバリエーションを簡単にシミュレーションできるのが面白いところですが、何回、何十回と試行せねばならないのが現状です。ただ、工夫次第で、この手順はもっと簡略化できるかもしれません。

 AIの活用は、落語や小噺のアイデアを高速で作成できたり、観客の反応をデータで予測して効果的な演出などに活かせますが、あくまで落語家の「引き出しを増やす道具」であり、AIだけでは表現できない「間」や「味」といった人間ならではの要素が重要であることが今回、改めてわかりました。

 こしらGPT師匠、ありがとうございました。次回も宜しくお願いいたします!!!

 

(不定期連載)