鑑真和上

「くだらな観音菩薩」 第6回

そう、諦めちゃあいけないんだ

 でも、この方は、ご自分の人生をどう思われていたんでしょうか。

 奈良の唐招提寺(とうしょうだいじ)にいらっしゃる、鑑真和上(がんじんわじょう)様。何度も何度も失敗して、6度目にようやく日本に渡ることができた。しかも、つらい船旅で失明までされたというじゃないですか。

 そのバックボーンを知っていたからか、鑑真和上像に会った時の感動は、未だに忘れられません。今から20年前の2005年。唐招提寺の金堂大改修記念で、東京国立博物館に鑑真和上像が来たことがありました。

 仏様が大好きな私は、鑑真和上像に会うために長蛇の列に並びました。だんだんと近づいてくる鑑真和上像。わくわくしながら一歩一歩近づいていき、そして目の前に現れる。

 息を呑みました……。「国宝って、こういうことなのか」と感心せざるを得ませんでした。鑑真だけに感心とは言いませんよ! 洒落抜きで、国宝になるだけあってオーラが凄かった。そして、何かから救ってくれそうな佇まいに、思わず手を合わせてしまいました。「可哀想な野良猫に、一杯のミルクを飲ませてあげてください」と。

 やはり、一つのことを成し遂げた男は、顔つきが違いますね。鑑真和上像を見て、国宝に選ばれるものは、やはり何かが凄いんだなと感じました。何かは分からないけど、何かが凄いんです。

 だから私たちも、人間国宝の雲助師匠をもっと大事にしないといけないんですよ。「師匠、私の『歯ンデレラ』って噺をやってください」なんて、簡単に言っちゃいけないんです。国宝なんだもん。でも、やってほしかったなぁ~、『歯ンデレラ』。

 でも『歯ンデレラ』が駄目なら、『スナックヒヤシンス』と『二個上の先輩』があるぞ!

 駄目でも、何度でも諦めずにお願いすれば、やっていただけるかなあ。そう、諦めちゃあいけないんだ――鑑真和上のように。

 また会いたいなぁ。毎年6月5日~7日に会えるそうだから、唐招提寺に行こう! 誰か一緒に車で奈良に行きませんか? ならし(奈良市)運転だから、平常(平城)心を保てるか分かりませんけど。

(毎月16日頃、掲載予定)