2025年11月のつれづれ(浪曲シネマ劇場、大利根勝子の登壇、真山隼人の奮闘、注目の公演)
月刊「浪曲つれづれ」 第7回
- 浪曲
杉江 松恋
2025/11/09
伊勢哲監督が見つめた浪曲の魂
鬼籍の名人たちがスクリーンで唸る「浪曲シネマ劇場」
大利根勝子、2年8ヶ月ぶりに舞台に登場。
浪界の話題は、今月はこれに尽きるだろう。
伊勢哲監督の浪曲ドキュメンタリー映画を一気に上映する、「たっぷり3日間! 浪曲シネマ劇場」が10月24日から26日まで浅草木馬亭で開催された。伊勢は木馬亭の楽屋に入ることを許され、浪曲師と曲師をこつこつと撮り続けてきた映画人だ。すでに鬼籍に入った人々の記録映像としても貴重であり、浪曲が過去にどのような輝きを放っていたかを知ることができる。
24日午後には、新作「浪曲太陽傳~木馬亭の浪曲師たち」が上映された。二代目東家浦太郎、澤孝子、曲師・沢村豊子など、ここ数年に亡くなった名人たちの姿を再現すると共に、東家三可子以下の最近年季明けを果たした若手たちの存在を知らしめ、真山隼人が突然の大病から復活を果たしたことを告げるなど、2020年代の関東浪曲界動向を教えてくれる作品である。
二代目浦太郎は、公式なものとしては最後の舞台となった定席の映像を部分的に観ることができる。本当の最後の舞台は、このあと弟子の会にサプライズ出演したときで、その際は一席を唸るということはなかった。
50年以上の歴史がある木馬亭ゆえ、去っていった人々の数は多い。別れを告げることもできなかった芸人もいる中、きちんと引退興行を済ませ、ファンに別れを告げていったのが大利根勝子だ。親交のある玉川奈々福にかなり前から相談し、引退の準備を進めていたという。
2023年2月25日の引退興行では、最後に「花売り娘」を語って舞台に別れを告げた。これは勝子が幼少期に、後に姉弟子になる人が自宅近くに回ってきた興行で唸ったのを聴いた、人生初の浪曲演目である。最初に戻る形でキャリアを締めくくり、勝子は惜しまれながら舞台を去った。
「浪曲太陽傳」にもその姿は収められている。
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