番頭色々

入船亭扇太の「お恐れながら申し上げます」 第3回

番頭色々

扇白兄さんと筆者

入船亭 扇太

執筆者

入船亭 扇太

執筆者プロフィール

番頭って何?

 おはようございます。入船亭扇太です。

 エッセイも今回で3回目。何を書こうか悩んでいましたが、兄弟子の扇白の真打昇進披露興行があり、番頭としてお供をしていたため、いつものように日常の面白そうなことに目を向ける余裕がありませんでした。

 そこで今回は、その披露目について書いてみようと思います。あくまでも私の個人的な感想ですので、気楽に読んでいただければ嬉しいです。

 「番頭って何するの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。一言で言えば、新真打の補佐役です。新真打がやりたいこと、やらなくてはならないことをサポートします。たとえば、

 ・高座の飾り付け
 ・寄席と寄席の引っ越し作業
 ・打ち上げや物販の差配
 ・楽屋に入れるお菓子やお弁当の発注、買い出し、お酒の補充
 ・披露パーティーのお手伝い

 など、仕事は多岐にわたります。

大盛況の披露パーティー

 披露パーティーには、「新真打合同」と「個人」の2種類があります。

 合同パーティーは、開宴前に記者会見があり、その後は芸人や関係者が集まって和気あいあいとした雰囲気。各新真打の番頭も集まるので、仲間同士の交流も楽しいです。

 一方、大変なのは個人のパーティーです。扇白兄さんのパーティーには、約300名ものお客様がいらっしゃり、大変賑やかでした。

高座前の兄さん

 準備は前日から始まり、引き出物を袋に詰める作業など、慣れていないと時間がかかります。私が動こうとすると、先輩から「番頭は指示を出した方がいい」とアドバイスをいただきました。何年も上の兄さんに指示を出すのは……快感、いや緊張しました(笑)。

 当日は朝から受付の設営や、いただいたものの飾り付けなど、やることが山ほど。二ツ目の兄さん方やスタッフの皆さんのおかげで、無事に準備を終えることができました。ありがとうございました!

 パーティーが始まると、進行の確認や挨拶まわりの付き添いなど、細々としたことをこなします。何かをするというより「そこにいる」役回り。暇な時に会場内をうろうろしていると、「あれはどうなってる?」「これはこうした方がいいんじゃない?」と問題が出てきます。それを兄さんに確認したり、スタッフにお願いしたりと、会場内を縦横無尽に動き回ることに。

 夜はぐっすり眠れました。