五合目 ~京都漫遊記 〈参〉

「伯知の日本酒漫遊記 ~酒は“釈”薬の長」

利き酒カウンターの密談

 3種類を飲んだものの、ここまで味が違うとなると、あと7種類もあるのが気になって仕方ない。しかし参加したのは、最終時間の見学回。閉館時間もあるから、悠長に全部飲む余裕もなさげである。

 フラフラほろ酔いで、利き酒カウンターのスタッフさんの元へ。百円玉を差し出しながら、

 「あの……、もう1種類だけ、追加で飲もうと思うんですけど」
 「はい、追加ですね! あと1種類ですか?」

 もちろん酒好きであろう、スタッフさんの目がこの時キラリと光ったのを私は見逃さなかった。

 「この中で飲むとするとですね……鳳麟と笠置屋はもうお飲みになりました?」
 「あ、はい、さっき飲みまして…で、あと気になってるのが、この内蔵純米大吟醸ってやつなんですけど……」

 さらにスタッフさんの目がキラリと光る。

 「フフ……そうなんです、私もそれが好きでお勧めでしてね……ぜひゆっくり味わってください」

 スッ、と机に滑らせて追加のコインを差し出すスタッフさん。まるで映画で秘密情報をこっそり渡してくれるバーテンとのやり取りのようであった。お勧めの通り、内蔵純米大吟醸 しぼりたて生原酒 (記念館限定)はとっても美味であった。その土地でしか飲めない酒は、飲んでおくべきである。

 かくして、京都伏見では幕末ロマンにひたりつつ、日本酒を堪能しては地元の人々に親切にしてもらい、大満足の旅となったのである。ただの飲んだくれにならぬよう、得た知識はちゃんと講談に活かしますので、今後とも温かく見守ってくださいますよう、なにとぞ……。

〈おまけの京都・伏見グルメ記〉

 酒蔵見学なしで、直売店併設のバーだけ堪能した「蒼空」で有名な藤岡酒造。いつか取材もしてみたい……。

利き酒メニュー

藤岡酒造の甘酒ショコラアフォガード


 「手づくりハンバーグの店 とくら」のハンバーグは、噴水のように溢れる肉汁で有名です。

とくらのハンバーグ


(以上、敬称略)

伏見夢百衆(Instagram)

月桂冠大倉記念館

(毎月1日頃、掲載予定)