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優しさと知性で物語を紡ぐ 田辺一邑(後編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第20回

優しさと知性で物語を紡ぐ 田辺一邑(後編)

田辺一邑 近影(墨亭にて)

瀧口 雅仁

執筆者

瀧口 雅仁

執筆者プロフィール

新作講談作りの醍醐味

一邑 最初に作ったのが『山葉寅楠(やまはとらくす)オルガンを直す』で、その次が『フジヤマのトビウオ 古橋廣之進(ふるはしひろのしん)』でした。他にも『高柳健次郎(たかやなぎけんじろう)』『白井鐵造(しらいてつぞう)』『田畑政治(たばたまさじ)』『井伊直虎(いいなおとら)』『金原明善(きんぱらめいぜん)』など。作ってもこれは割と良くできたなと思うものもありますし、ダメだと一回きりというものもあります。

一邑 資料を見つけるのは割りと得意なんです(笑)。作家のようにゼロから作り上げていく力はないので、方向性を決められるいい資料が見つかるかどうかが鍵です。子ども向きの本がとても参考になります。師匠もよくそう言っていました。最近は国会図書館のデジタルライブラリーが便利なので助かっています。ところが以前は目次をクリックすると見出しがすべて表示されてそこに飛ぶことができたのに、最近は「目次」しか出なくなったのが不便で、この間もそのことをアンケートに書きました(笑)。

一邑 この間、世界お茶まつりの開会式でお茶講談『日本茶を世界へ』と、ここ何年か毎年呼んでくださる新城市で長篠合戦のクライマックス『決戦!設楽ヶ原(したらがはら)』を下ろしたばかりです。聞き手は地元の方が主なので、できるだけわかりやすく、ですがそこは講談ですから修羅場も入れて、そのへんの加減がミソですね。

弟子の活躍

一邑 一門と言っても、一乃(かずの)と凌鶴(りょうかく)の二人は師匠が亡くなってからの預かりですし、もう真打なので別格です。いちか君ももはや私の手からは離れているので、あとは身体だけは気をつけてほしい。この仕事は身体が資本ですから。高座に関しての心配はありません。会も沢山開いていますし、秘かに逆七光りを狙っています(笑)。その時に師匠として恥ずかしくないよう精進します。

一邑 一記君は我が道を行くタイプで、マイペース過ぎるのがちょっと心配なんです。もう少し、欲を出して、会を開いたほうがいいと思っています。欲がなさすぎる。どうか応援してあげてください。