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〈書評〉 8番出口 (川村元気 著)

「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第6回

迷いながらも出口へ

 ゲームの『8番出口』には、背景になるようなストーリーはない。「異変を見つけて地上に出よう」という、とてもシンプルな内容でありながら、その不気味さが魅力となり惹きつけられる。

 こんな奇想天外な状況を映画化、小説化したのが映画監督で小説家の川村元気さんだ。

 主人公が抱える「罪の意識」、これがきっかけとなり、主人公は謎の地下通路へと迷い込んでしまう。『8番出口』の重要キャラである「通り過ぎるおじさん」が「通り過ぎるおじさん」になるまでも描かれ、またゲームには登場しないキャラクターも数名登場するが、『8番出口』の世界観を壊すことなく、物語に厚みを持たせている。

映画『8番出口』

NEWS|映画『8番出口』

 主人公の苦しみと葛藤、8番出口で彷徨う中で、迷いながらも出口へ向かおうとする姿が現実の迷いや葛藤とリンクする様が描かれる。ゲームの不気味さを保ったまま、主人公の物語が繰り広げられていく。

 このお話の主人公には、名前がない。「名もなき男」だそうだ。川村さんへのインタビューによると「名もなき男=世間」としているらしい。どこにでもいる大勢のうちの一人。確かに冒頭の電車内のシーンは身につまされる思いがする。

 ゲームの世界で味わった不気味さを、小説でも損なうことなく感じさせてくれる一冊。

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  • 書名 : 8番出口
  • 著者 : 川村元気
  • 出版社 : 水鈴社
  • 書店発売日 : 2025年8月
  • ISBN : 9784910576046
  • 判型・ページ数 : 文庫判・176ページ
  • 定価 : 976円(本体888円+税10%)

2025年12月のピックアップ公演はこちら。ご予約お待ちしてます!

笑福亭茶光の

『忘年会したい夜・・』

  • 日程:
  •  12月29日(月)
  •  開場18:30 開演19:00
  • 会場:
  •  シン・道楽亭
     (新宿区新宿2-14-5 坂上ビル1F)
  • 出演:
  •  笑福亭茶光
  •  春風亭昇りん(ゲスト)
  • 料金:
  •  ご予約2,000円 当日2,500円
  • 打ち上げ:
  •  2,000円(オードブル・ワンドリンク付)
  •  
  • ご予約:

(毎月29日頃、掲載予定)