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弥勒菩薩(半跏思惟像)

「くだらな観音菩薩」 第8回

優しい微笑み

 でも弥勒菩薩様は、来たるその時まで、どうやって皆を助けるかをずーっと考えているんだって。仏の悟りを目指して修行中の存在なんだって。そして56億7千万年後に悟りを開いて、世界を助けてくれるんだって。有難いよね。

 落語協会が潰れそうな時に突然現れて、寄席をいつも満席にする噺家が現れた!みたいなものなのか!

 その噺家さんは、ずーっと前座修行をしながら、どうすれば寄席が満席になるか、どうすれば落語界が幸せになるかを50年考えています。しかも前座修行中は足を組んで椅子に座って、全然働きません!ってなっちゃうな。

 「おい、お前! 考えるより行動しろ!」って師匠から怒られちゃうね。ズコー! 噺家と比べちゃいけませんでした。すいませんでした。

 この世界を救ってくれる弥勒菩薩様に会いに行きたいと思った方は、国宝第一号、広隆寺にいらっしゃる弥勒菩薩様。そして、飛鳥の中宮寺の弥勒菩薩様、このお二方が有名ですよ。

 中宮寺だと法隆寺の隣ですから、私の大好きな百済観音様や釈迦三尊像なども観れますね。池の中のポツンとあるお堂の階段を登るといらっしゃる中宮寺の弥勒菩薩様は、何とも言い難い優しい微笑みで僕たちを迎えてくれます。思わず、

 「優しい~」
 「本当、優しいわ~」
 「優しいわよねぇ~、分かってくれる?」
 「分かる、分かる分かるの若侍! 参る!」
 「お相手いたす~」

 って叫びたくなるほど、優しい微笑みです。

 あー、この方が僕たちを救ってくれるんだ~(まあ、56億7千万年後だけど)と思いながら拝見すると、有り難みが増し増し増し増しくらいになるので、お勧めです。

 私たち落語家は、目の前のお客様を、落語の世界に連れて行ってあげて、つらい現実世界をひと時だけでも幸せな空間にしてあげられるように、お稽古に精を出さないといけませんね。100年に1人にならなくてもいいんです。

 目の前のお客様が幸せになることを目指すのだ!

(毎月16日頃、掲載予定)