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〈書評〉 熟柿 (佐藤正午 著)

「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第8回

お節介な親心

 昨年末の『水戸みやぎん寄席』の出演日に合わせ、妻と小学2年生の息子と共に水戸へ向かった。息子は出不精な小学生だが、ホテルや旅館に泊まるのは好きで、一泊するとなると遠くでも喜んで出かける。

 そして歓喜の雄叫びと共にこう叫ぶ。

 「ホテルでゴロゴロするぞーーー!!!」

 なぜ、遠出してまで家と同じことがしたいのかはわからない。しかし、親としては、ホテルでゴロゴロをそのまま容認するわけにはいかない。どこか子供が遊べる場所はないかと調べると……『大洗水族館』がイベントも色々あって楽しそうだ。というか、水戸周辺には子供の遊び場として、ほかに選択肢がない。大きい公園はあるが、年の瀬は寒すぎる。

 夜の公演の前、昼間は水族館に行こうと妻と息子の了解を得て、水戸へ行くことが決まった。

 水戸へ向かう常磐線の車内、息子が「昼間はどうするんだっけ?」と、私に問いかけてきた。

 「まず水族館に行くよ」
 「……嫌だなぁ」

 こう言い出す想像はついていた。この子はまったく水族館に興味がない。でも親としてはゴロゴロするんではなく少しでも何かに触れて心に感じるものがあってほしい。お節介な親心なのだ。

 「水族館に行くって、前に言ったよ」
 「嫌だなぁ、行きたくないなぁ。ホテルでみんなでいる方が楽しいよ?」
 「もうチケット買ってるから」
 「えー!? 水族館、嫌だなぁ!」

 あまりのしつこさに、黙っていた妻も口を開いた。

 「私だって、行きたくないの!」

 え? それ言うのありなん? 援護射撃のように受け取った息子が勢いを増す。

 「じゃあ、パパだけ行けばいいじゃん!」
 「あのな、水族館にはパパだって行きたくない」
 「……じゃあ、なんで行くんだよぉ!!」

 息子の言う通りかもしれない。誰も行きたくない水族館になんで私たち家族は向かっているのだろうか? その理由は『息子のため』。息子からしたら望んでもいない、いい迷惑である。