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浪曲の台本

「コソメキネマ」 第十回

新作の定義

 浪曲の新作台本を舞台にかけるご本人が自作するという場合も多いですが、演者以外の方が脚本を書かれる場合もあります。

 私が存じ上げているだけでも現在でも10人前後の方がいらっしゃるような気がします。ほかの話芸の新作台本がどのように書かれているかわかりませんが、現在いる浪曲師の人数に対しては、結構多いのではないかと思います。浪曲の台本というのは、書いてみたくなる人が意外に多いのかもしれません。新作と銘打った浪曲会なども開かれています。

 といいながら、浪曲の新作というのはどういうものだろう?と思っております。

台本は最初の頃は原稿用紙に清書していましたが、ここ数年はノートに清書しています。持ち歩く時はボロボロになるのでパソコンのデータをプリントアウトしています

 毎月開催されている「浪曲新宿亭」という公演がありまして、毎回テーマが付いています。私が出演する時のテーマが古典と新作ということで、4人の浪曲師で古典と新作を二席ずつかけるということに。私には、新作の方でと担当の方からご連絡いただきました。私が博喜さんの台本をよくやっているので、新作をかけているという印象だったのでしょう、了解の返事をした後に、はたと思いました。

 あれ? 博喜さんに書いてもらった台本って、原作か元ネタがあるものばかりで、その元になった話は100年くらい、またはそれよりもっと前に書かれたものでは? それを新作と呼んでいいのだろうか? 唯一、一からオリジナルで書き上げた台本があったのですが、クリスマスの話で、公演日は2月。季節外れすぎる……。

 ということで、悩んだ末に、博喜さんに書き下ろしでオリジナル台本を書いてもらうことになりました。それが最新作の『旅芸人』という作品です。こうやって、必要に迫られて台本が作られるというわけです。

 そうやって考えてみると、新作の定義というのは難しい。新しく書かれたものなら新作なのか、はたまた現代を舞台にしていれば新作なのか、新しい作品が100年経てば古典になるのか、30年前に書かれたとしても新作になるのか。

 まあ、どんな物語も書かれた時は新作だったというのは確かです。