鼻の中 そこのけそこのけ お水が通る
「朝橘目線」 第10回
- 落語
三遊亭 朝橘
2026/02/08
理想の鼻通りを実現できる二本挿し。仕事もはかどる
雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る
(すずめのこ そこのけそこのけ おうまがとおる)
―― 小林一茶(おらが春)
「推し」という言葉が昨今、非常に多用されている。
とにかくよく見聞きする。「推し」が使われ出したのは、おそらくアイドル界隈だと思う。恋愛御法度の業界だから「好き」は持ち込めない。「応援」「ファン」だと熱量が足りない。「追っかけ」は警戒されそう。「推し」なら一ファンよりもっと踏み込んでいる感じがするが、あくまで客というスタンスも表明できる。なるほど便利だ。ちょうどいい。リスク管理という観点から生じた流行り言葉だと思うと、窮屈な世の中だ。
うちの娘たち(6歳・4歳)にも「推し」がいる。最近は超ときめき♡宣伝部、FRUITS ZIPPER、あたりが「推し」らしい。一緒に観ようとテレビの前に座らされるが、お父さんには誰が誰なのか、見分けがつかない。娘たちはきちんと識別できているらしく、歌もすぐ覚える。よくまああんな早口の歌を、と感心する。
「可愛いだけじゃ、だめですか?」と歌っていたから、「勉強もした方が良いんじゃないか」と言っておいた。娘たちは歌に夢中で聞いちゃいなかった。あと運動もしたほうが良い。
まあ、キラキラした女の子に憧れるのは良い。メイクだのネイルだの、オシャレに興味を持つのも、ひとえに娘たちの成長の証。喜ばしい。だが近頃、長女が男性アイドルを熱心に「推し」始めている。これは父親としては看過できない。Snow Manの「だてさま」という方が「推し」らしい。仙台藩主の末裔でも在籍しているのだろうか。
長女はもうキラキラした目で、王子様のような推しを見守っている。6歳だぞ。早くないか? そんなもんなのか? 自分が6歳の頃、女性アイドルなんか見向きもしなかった。電車とかロボット、あとは硬くて強そうな木の枝とか、そういうのを愛でていたはず。これにはどうも、母親が暗躍している気がする。
妻は嵐ガチ勢である。YouTubeで『よにのちゃんねる』だったか、二宮くんのをよく観ている。いわゆるジャニーズ系が好きだ。「いつか子どもたちとコンサート行きたいなあ」と、度々口にする。私のいない時に仕込んでいるんだろう。家だけではない。幼稚園のお友達や、そのお母さんとも誰推しだのなんだの話している。内憂外患とは、このことだ。
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