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花粉の話

「お恐れながら申し上げます」 第7回

稽古したい気持ちはあるのですが…

 花粉症が落語に及ぼす影響もあります。

 不思議なことに、高座に上がると鼻水やくしゃみは止まります。緊張しているせいなんでしょうが、これは大変に助かります。体が勝手に反応を抑えてくれているのだと思います。最近は寝ても疲れが残ったり、乾燥に弱くなったり、少しの運動で重く感じるようになった私の体ですが、この時だけは感謝します。ごく限定的な感謝です。

 お客様の前では特に問題はないのですが、楽屋にいる時は問題が出てきます。それは、花粉症トークです。花粉症の人は、『症状が出てどれだけ大変か、対策はどうしているか』などを自慢気に話してきます。苦労自慢です。もちろん勉強になることもあります。

 花粉症ではない人は、そのことを誇らしげに話してきます。えてしてそういう人は、哀れみの目で私を見てきます。少し上から目線な人もいます。花粉症はいつ発症するか分かりません。そういう人とは、苦しみを共有したいと思います。

 喉がイガイガすることもあります。それはのど飴を舐めると治るので、あまり問題視していません。問題なのは、頭がボーっとすることです。花粉の飛散量が多いと、ボンヤリしてきます。『噺の稽古をしなければいけないな』と思っても、頭がはっきりしません。

 ほかの症状も稽古を邪魔してきます。ごく稀に沸き上がってくる『稽古したい』という気持ちが挫けます。これを逃すと、いつやる気になるか分からないと頑張ってみようとするのですが、体は正直です。心は脆弱です。稽古を早々に切り上げようとしてしまいます。

 そんな時には、シャワーを浴びるとスッキリします。ところが習慣化していないので、対処法を思い出すまでに時間がかかります。「シャワーを浴びよう」と気が付いて、体を整え、稽古しようとすると、すでに夕方だったこともありました。今年は大丈夫です。このコラムのお陰です。助かります。