青春の終わりに入門。青春の始まりの入門 (後編)

鈴々舎馬風一門 入門物語

楽屋で学んだ人生のLUCK GO

 前座会に出席してみると、拍子抜け。まもなく二ツ目となる先輩にツッパリあがりの方があったが、一人角刈り男を除いて、後は全員やっつけられる。「噺てぇのは良く出来てるねぇ!」と繰り返し、ヨォヨォ!!と呪文を唱えているような人々である。

 安堵したところで、一人角刈り男は、国士舘大学空手部の主将だった男だと聞いたので、角刈りをスライドしてナイスガイのリストに入れ、いさかいごとのなきよう大人しく過ごすことを肝に銘じるのでございます。

 毎日毎日が、世間のどの業種よりも速く過ぎ去りゆく、師匠宅と寄席の間の生活は、あらゆるハプニングも、落としどころと結果オーライであればよい、LUCK GOなる人生でもっとも愉快なる日々にございました。

 さても前座の名前「馬ん頭」は、大師匠の小さんに師匠とご挨拶させていただいたおりに、大師匠がジラッと私を見る。しばらく優しく目をやると、「馬ん頭? 馬頭でいいじゃあねぇか」と鈴々舎馬頭となるのでございます。

 また、かつての弟弟子ですが、鈴々舎たけ馬、あまりにもしくじりごとが多いので鈴々舎馬賀。本人は馬鹿の字でバカを希望も結果、一応漢字で馬賀。大師匠の「バカはかわいそうだろぅ」の一声で、賀正とめでたく収め、「馬賀正」バカショウとなった人もありました(三遊亭圓丈師匠のお弟子、ぐん丈との間で、お笑いコンビ「ガッポリ建設」結成)。

 この一連の楽屋貼り(楽屋での貼り出し告知)を画像に収め、ブログに画像だけ公開といふシュールなまとめ方をした五街道雲助師匠は流石、人間国宝と認定されるのでございます。