浪曲進化論
「浪曲案内 連続読み」 第2回
- 浪曲
東家 一太郎
2025/06/15
浪曲のルーツをたどる
浪曲は三味線の音色に乗せて、節(歌のようなもの)と啖呵(セリフ)で物語を伝える、語り物の芸能です。
「浪曲という種」の起源をたどると、どうなるのでしょう。平家物語を琵琶の伴奏で語る琵琶法師は、『耳なし芳一』の話でイメージしやすいですね。平曲は鎌倉時代ですが、奈良時代、平安時代から仏教の説話を語る琵琶法師はいたようです。
もっと古い時代にも、楽器の伴奏での語り物の芸能はあったかも知れません。浪曲のご先祖様の芸能はどんどん枝分かれをしていって、いまでは知ることができない、記録にも残っていない、絶えたものも沢山あったでしょう。
室町時代には能の謡曲や浄瑠璃が、江戸時代には義太夫節、常磐津節、清元節などができました。江戸浄瑠璃は沢山のジャンルがあったそうですが、いまでは技芸を体現する保持者(芸人)が絶えたり、衰退して、なかなか聞くことができない◯◯節、というものもあるそうです。
浪曲・浪花節の近いご先祖様は、江戸後期に流行ったという阿呆陀羅経(あほだらきょう)、デロレン祭文、ちょんがれ、ちょぼくれと云う、なんだかよくわからない、ちょっと変わった楽しい名前の芸能です。いまではなかなか聞く機会はないですね。
明治になって浪花節(なにわぶし)という芸能ができました。だんだんと流行し、何百人、何千人と浪花節を語る芸人が増え、当然曲師も増えました。浪花節は、昭和になって浪曲と名を変えます。
師匠が弟子に教えて、弟子が師匠の芸をまたその弟子に伝えていくことで芸の系図が続いていきます。そうやって浪曲各派ができました。関東では東家派、浪花亭(木村派)、玉川派など、関西では吉田派、京山派、広沢派など、ほかにも桃中軒派、天中軒派、鼈甲斎(べっこうさい)派など、多くの流派があります。流派ごとに芸人の名前が書かれた浪曲家各派別系図という本もあるんですよ。
それだけ流行って、浪曲師の数が多かったのです。しかし、昭和の時代にあれだけ一世を風靡して売れた「清水次郎長伝」の広沢虎造や「佐渡情話」の寿々木米若の系譜は現在もうありません。その流派は絶えてしまったわけです。続いている流派があるということの方が珍しいのかも知れません。
いま現在残っている流派が優れているということではなく、その時代時代で色々な浪曲師がいて、ものすごく売れた人も、それなりにうまくいっていた人も、うまく行かずに辞めていった人もいた。
でもその時代、その年、その日の舞台のその瞬間に、浪曲師も曲師も輝いて芸をして生きていた。そこにお客様がいて、寄席小屋や劇場があったことが愛おしく、素敵だなぁと感じます。進化論を通して浪曲を見ると、なんだか心がホッとして、この芸能に対して優しい気分でいられます。
しかし!一人の芸人として考えると話は別。淘汰されないように競争に打ち勝って生存し続けていかなければいけません! なぜなら浪曲が好きだから。師匠の浪曲が好きだからです。関東節、東家の芸を絶やさずに継承していかないと、師匠や大師匠、ご先祖様に申し訳がない。
また広く云えば、浪曲という芸能自体を絶やさない予防も必要です。絶滅危惧種のレッドリスト、とまでは云いませんが、準絶滅危惧かも!? 用心するに越したことはありません。それには技芸を高める、芸を磨いて、お客様に喜んで楽しんで満足していただくほかはありません。
いま読まれています!
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第11回
〈書評〉 サライ 2026年4月号 (大特集:落語 講談 浪曲 サライの「演芸」 令和の名人)
~人間国宝の鼎談から若手の最前線まで網羅した豪華特集。読むほどに、もっと聴きたくなる!
杉江 松恋
2026/03/19
「かけはしのしゅんのはなし」 第10回
3月5日は、スリランカカレーの日
~知らないなら食べに行けばいい。その一歩が世界を広げる!
春風亭 かけ橋
2026/03/18
「コソメキネマ」 第十一回
このキなんのキ気になる一記
~国が崩壊した悲劇を愛と狂気で描いた映画『アンダーグラウンド』をご紹介!
港家 小そめ
2026/03/20
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第28回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(中編①)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/13
「令和らくご改造計画」
第八話 「酔っ払いにSNSを」
~芸人のSNSは、なぜ自由すぎるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/03/12
「講談最前線」 第15回
2026年3月の最前線(聴講記:令和鹿芝居「髪結新三の巻」/玉造小劇店「カラサワギ」、講談界短信)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/03/17
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第27回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/12
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第30回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/15
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第29回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(中編②)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/14
「コソメキネマ」 第十回
浪曲の台本
~臆病者の侍が心理作戦で剣豪に立ち向かう映画『ひとごろし』をご紹介!
港家 小そめ
2026/02/21
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第11回
〈書評〉 サライ 2026年4月号 (大特集:落語 講談 浪曲 サライの「演芸」 令和の名人)
~人間国宝の鼎談から若手の最前線まで網羅した豪華特集。読むほどに、もっと聴きたくなる!
杉江 松恋
2026/03/19
「噺家渡世の余生な噺」 第11回
手紙 ~拝啓、四十八の君へ~
~来てくださった人の顔を忘れるな。 自分のために頭を下げてくださった人の姿を忘れるな
柳家 小志ん
2026/03/14
「かけはしのしゅんのはなし」 第10回
3月5日は、スリランカカレーの日
~知らないなら食べに行けばいい。その一歩が世界を広げる!
春風亭 かけ橋
2026/03/18
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第29回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(中編②)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/14
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第28回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(中編①)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/13
「くだらな観音菩薩」 第11回
閻魔大王
~素敵な人との出会いは、財産だ!
林家 きく麿
2026/03/16
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第30回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/15
「講談最前線」 第15回
2026年3月の最前線(聴講記:令和鹿芝居「髪結新三の巻」/玉造小劇店「カラサワギ」、講談界短信)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/03/17
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第27回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/12
「令和らくご改造計画」
第八話 「酔っ払いにSNSを」
~芸人のSNSは、なぜ自由すぎるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/03/12
「二藍の文箱」 第10回
かたばみ日記 ~初主任の十日間
~高座と人生が交差する、濃密で温かい日々の舞台裏
三遊亭 司
2026/03/02
月刊「浪曲つれづれ」 第11回
2026年3月のつれづれ(玉川太福の受賞、玉川奈々福の徹底天保水滸伝、『深夜食堂』&『陰陽師』の浪曲化)
~スターの活躍と新しい挑戦が交差する、いまの浪曲界をご紹介
杉江 松恋
2026/03/09
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第11回
病んでる間に千春の春到来
~体調不良で“声”を失っても、“笑い”は失わない宇宙一の美人浪曲師の事件簿!
東家 千春
2026/03/03
「令和らくご改造計画」
第八話 「酔っ払いにSNSを」
~芸人のSNSは、なぜ自由すぎるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/03/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第8回
微笑みながら中指を
~笑えて震える、ご近所交流録! マトリックスばあさん、降臨!!
桂 三四郎
2026/02/25
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第27回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/12
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第28回
古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(中編①)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/03/13
月刊「シン・道楽亭コラム」 第11回
シン・道楽亭Webサイトリニューアル! ほぼほぼAIで作ってみた話
~どんな思いで運営しているのか、どんな場所として受け入れられたいのかをお伝えしたい
シン・道楽亭
2026/03/10
「二藍の文箱」 第9回
寄席、そちらとこちら
~寄席の客席と楽屋は、やさしさにあふれている
三遊亭 司
2026/02/02
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第11回
〈書評〉 サライ 2026年4月号 (大特集:落語 講談 浪曲 サライの「演芸」 令和の名人)
~人間国宝の鼎談から若手の最前線まで網羅した豪華特集。読むほどに、もっと聴きたくなる!
杉江 松恋
2026/03/19
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
シリーズ「思い出の味」 第19回
雪のココア
~内弟子時代に憧れた甘い味
柳家 わさび
2026/01/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第7回
世間せまないか?
~落語家を多数輩出する片田舎、神戸の垂水
桂 三四郎
2026/02/01
「令和らくご改造計画」
第五話 「ヨセジャック事件」
~落語家にとってのマクラとは何か?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/12/12
シリーズ「思い出の味」 第15回
水茄子とジンジャーエール
~夏の青臭さ、生姜風味の泡沫が映す情景
林家 彦三
2025/11/25
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25
編集部のオススメ
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第8回
微笑みながら中指を
~笑えて震える、ご近所交流録! マトリックスばあさん、降臨!!
桂 三四郎
2026/02/25
「令和らくご改造計画」
第七話 「若手人気落語家殺人事件 【解決編】」
~寛容な落語の世界、非寛容な現実の世界
三遊亭 ごはんつぶ
2026/02/13
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「お恐れながら申し上げます」 第6回
早朝寄席のこと
~精一杯やりますので、ご来場をお待ちしております
入船亭 扇太
2026/02/11
月刊「シン・道楽亭コラム」 第10回
シン・道楽亭、誕生前夜から今へと続くキャリー・ザット・ウェイト Part.2
~共同席亭という名称のひらめきと、橋本さんとの生前最後の面談詳細
シン・道楽亭
2026/02/10
月刊「浪曲つれづれ」 第10回
2026年2月のつれづれ(沢村豊子を偲ぶ会、玉川奈々福の徹底天保水滸伝、帯広浪曲学校)
~世界に一つだけの宝
杉江 松恋
2026/02/09
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第24回
講談界を駆ける一鶴イズムの継承者 田辺銀冶(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/02/03
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第10回
宇宙一の美人も風邪には勝てない
~たっぷりの愛情を込めて演芸界という濃密な世界を描く芸人日記
東家 千春
2026/02/03
「二藍の文箱」 第9回
寄席、そちらとこちら
~寄席の客席と楽屋は、やさしさにあふれている
三遊亭 司
2026/02/02
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25