第八話 「酔っ払いにSNSを」
「令和らくご改造計画」
- 落語
三遊亭 ごはんつぶ
2026/03/12
絵:大熊2号
#1
落語家という職業は、芸能の中でもかなり特殊な存在感を放っている。俳優や歌手のように事務所に所属して活動する者は少なく、多くの落語家は個人で仕事をしている。
つまり営業も宣伝も、基本的にはすべて自分でやるしかない。
もちろん、それ自体が悪いわけではない。落語の世界には「看板は自分で背負う」という文化があり、それが芸の個性を育ててきた面もある。
ただ、現代の落語界を見ていると、その「個人任せ」の部分が、あまり良い形で機能していない場面も目につく。
特に顕著なのが、SNSである。
落語家のSNSは、実に自由だ。自由というより、「放置」と言ったほうが近いかもしれない。
若手の中には、そもそも何を発信すればいいのか分かっていない者も多いのだろう。自分が舞台に立つ人間であるという意識を、つい忘れているような、ブランディングに特に繋がらない、ただの日記や感想のような投稿が延々と続く。
それぐらいはまだ良いのだが、特に気になるのは「暇アピール」である。
―― 今日は特に何もせず一日だらだらしていた。ゲームをしていた。漫画を読んでいた。仕事がない。
こういう投稿は、本人は事実として何気なく書いているのだろうが、これを見て仕事を頼みたいと思う人がいるだろうか。少なくとも、僕だったら、もう少し実績の多そうな、忙しそうにしている落語家に依頼をする。
例えばだが、毎日凝った料理を作って写真を投稿していたとする。
もちろん料理が好きなのは良いことだし、それ自体を否定するつもりはない。
ただ、それがブランディングとして機能しているのかというと、少し首をかしげてしまう。
もし料理を武器にするのなら、料理タレントのような専門性を持たせたほうが良いだろう。レシピを紹介したり、裏ワザを語るなど、コンテンツとして成立している必要がある。
だが、「今日作りました」という投稿が続くと、どうしても「この人は、家にいる時間が多いのだな」という印象になってしまいかねない。
忙しい芸人が合間に自炊しているのなら、それはむしろ好印象だ。だが、暇な芸人の自炊ほど、見ていて気まずいものはない。
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