落語の面白さをAIに聞いてみた
「AIに落語は作れるの?」 第1回
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ネタ帳の秘書のような役割ができるAI(画:立川こしらGPTv1.1)
2025年5月、話楽生Webの編集Iは、立川こしら師匠にコラムの連載を依頼した。従来の落語家像にとらわれない柔軟な活動をされている師匠ならば、きっと斬新な連載になるだろうと考えたからである。そして迎えた打ち合わせ当日、師匠から提示されたのは、ご自身の分身である「AI」(Artificial Intelligence:人口知能)による連載というアイデアだった。その斬新すぎる提案に、編集Iは一瞬、言葉を失ったものの──師匠が実際に原稿を書かないので「原稿料はタダ」という一言に、心は大きく揺れ動く。こうして前代未聞のAI「立川こしらGPTv1.1師匠」(以下、こしらGPT師匠)による連載が誕生することとなったのである。
前代未聞の連載企画が始動!
〈こしらGPT師匠〉が連載を持つにあたり、どんな企画であれば、読者の方々に興味を持っていただけるのか。
編集Iが思いついたのが、AIによる新作落語の創作である。近年、AI技術の進化はめざましく、その波は落語界へも静かに押し寄せている。例えば、上方では桂文枝師匠がAIを活用して新作落語を創作する取り組みが報じられ、実際にAIを活用して新作落語を創作している方も少なくない。
そうした時代の風を受け、話楽生Web編集部では、〈こしらGPT師匠〉の力を借りて、新作落語の創作という無謀な挑戦に踏み出すことにしたのである。
他方、新作落語を自ら生み出し、口演される師匠方の創作の苦しみは、落語会でのトークや対談、打ち上げなどでよくお聞きする。どうしてもアイデアが思い付かず、発表当日の朝まで徹夜で書き上げるという話も珍しくない。乾いた雑巾を絞るような思いでアイデアをひねり出すその姿には、本当に頭が下がる思いである。
今回、AIによる新作落語の創作には、そんな“神様”のような存在である師匠方への一種の冒涜のような気持ちもありつつも、創作における新たな選択肢の1つとなれればと思っている。