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らあめんたべたい
立川談吉の「ずいひつかつどお」 第2回
- 落語

絵・フジマリ
額に“中”を掲げた超人の衝撃
キャメルクラッチ、またの名を駱駝(らくだ)固め。うつ伏せになった相手の背中に乗り、首から顎(あご)を掴んで相手の体を海老反り状に引き上げて、背骨や首を破壊する恐ろしい関節技だ。ラクダに乗って手綱を引いているように見えることが、技の名の由来だそうだ。
主にプロレスの試合で使われるのだが、この技で勝敗が決することはほとんどない。現代では技と技の間の“繋ぎ”として使われることが多く、選手がこの技を出したところで観客が盛り上がることもない。面白さも何もない地味な技なのである。
しかし、ある一定の年齢層にとっては、非常に印象深いものとなっている。それはラーメンマンの影響に他ならない。
ラーメンマンは、天才ゆでたまご先生作の日本の漫画『キン肉マン』に登場する。中国出身の超人で額に“中”と掲げたふざけたビジュアルなのだが、アニメ初登場時に強烈なインパクトを残した。対戦相手の背骨をキャメルクラッチで折ったかと思うと、折り畳んで大きな板の上に乗せてそのまま棒でゴロゴロと慣らして相手を麺にし、なんとラーメンとして食べてしまったのだ。
原作の方はアニメより強烈なのでここでは伏せるが、そのあまりの残虐性に当時の少年たちはみな失禁したのだそうだ。試しに、ある一定の年齢層の前でラーメンを食べながら「キャメルクラッチ」と叫んでみてほしい。失禁までは行かなくも、一滴くらいは雫を漏らすはずだ。
ちなみにわかっているとは思うが、これは男性限定の話である。同時期に活躍したクリィーミーマミやオスカルとアンドレは、決してキャメルクラッチなどしないので気を付けてもらいたい。
7月11日は、ラーメンの日だそうだ。これは数字の7をレンゲ、11を箸に見立てたことと、水戸黄門の誕生日が7月11日であることに由来する。水戸黄門が日本で初めてラーメンや餃子を食べた人というのは有名な話だ。時代劇ではしょっちゅう印籠を見せびらかしていたが、もしかしたら中に高級メンマが入っていたのかもしれない。