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そして現実へ

柳家さん花の「まだ名人になりたい」 第4回

そして現実へ

課金50万円の幇間(画:柳家さん花)

柳家 さん花

執筆者

柳家 さん花

執筆者プロフィール

あれが人生の絶頂

 私はテレビゲームが大好きです。ゲームをするために生きています。

 美味しいものを食べれば、このあとゲームをすれば幸せだろうな。落語会でネタおろしをすれば、この緊張感、疲労感のあとゲームをすれば最高だろうな。家族で旅行に行けば、このプライスレスな思い出に浸りながらするゲームは格別だろうな。こう思って生きてきました。

 ここだけの話ですが、師匠のうちで修行をしている最中もスマホゲームで放置しているだけで勝手にレベル上げをしてくれるゲームを起動させ続け、時折どれぐらい稼げたかなとチラチラ画面を見ているところを㐂三郎兄さんに見つかり、「それだけはやめとけ」と言われたぐらいのもんです。

 私が大学生の頃、夏休み2ヶ月間、1日も休まずゲームを毎日18時間やりました。振り返ると、あれが人生の絶頂でした。その前後の人生はおまけです。こうやってゲームを軸に人生を眺めると、良いことも悪いこともそのあとやるゲームのただのスパイスになるから不思議です。

 そんな私ですから、スマホゲームの課金もしました。

 二ツ目ももう終わり頃、コロナが来るちょっと前、学生の頃ハマっていたゲームがスマホに移植され、それに夢中になった私はキャラの装備のガチャ(一応、説明しますとガチャとは、ゲームのアイテムが当たるクジをゲーム内のお金でなく現実のお金で買うものです)にある日の晩、没頭してしまい、クレジットカードの上限20万円まで課金しました。