汗と笑いの物語

入船亭扇太の「お恐れながら申し上げます」 第1回

贅沢って、こんなに暑かったっけ?

 話は変わりますが、私は十数年間、アパートを借りて一人暮らしをしています。お手頃なアパートなので、ユニットバスです。浴槽にお湯をはってゆっくり浸かることは、自宅ではやりません。長年、シャワーだけで済ませていると、体が温まるのが早くなったように思います。

 慣れているので、普段は何とも思いませんが、ふと物足りなさを感じることがあります。そういう時にありがたいのが泊まりの仕事です。

 ホテルを取って頂くだけでもありがたいのですが、大浴場があったり、部屋風呂がキレイだったりすると嬉しくなります。お湯にゆっくりと肩まで浸かると贅沢だなと思います。ですが、体は温まりやすくなっているので、すぐにボーっとしてきます。

 もったいないので長湯しようと頑張ると、汗がタラタラ流れてきます。この汗は気持ちがいいものです。風呂から上がって部屋着に着替えても汗が流れてきます。タオルで拭っても汗が次から次へと出てきます。この汗も心地よいものです。

 ですが、しばらくすると「あっつい、いつまで暑いんだ。汗も止まらないし。あっついなぁ、あっつい。もういい!」と嫌になってしまいます。

初めてクルーズ船に乗りました。お風呂がキレイでした
 (釜山にて)

 せっかくの贅沢な時間が自分の体質と気質のせいで無駄になってしまう。もったいないことです。