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となりは鼻うがいをする人ぞ

「マクラになるかも知れない話」 第三回

となりは鼻うがいをする人ぞ

題字:三遊亭萬都

三遊亭 萬都

執筆者

三遊亭 萬都

執筆者プロフィール

秋の枕詞に、もの申す!

 今回のテーマは、○○の秋。

 まず、お題を見て「ほしのあき」と思った方へ。気持ちはわかります。三遊亭萬都です。好きな謝罪会見は、船場吉兆です。

 「○○の秋」ということで、あなたが思い浮かべる、○○の秋は何でしょうか。

 「スポーツの秋」
 「芸術の秋」
 「読書の秋」
 「食欲の秋」

 それぞれ由来はありますが、どれもこれも「気候が穏やかになり、過ごしやすくなってきたので」という枕詞が入るようです。「気候が穏やかになり、過ごしやすくなってきたので」運動ができる、読書ができる、芸術に打ち込める、活動的になって腹が減る。

 ゆえに「○○の秋」。

 三遊亭萬都は、自分で言うのも何ですが、穏やかな青年です。落語協会の公式ホームページに

 「三遊亭萬都(穏やかな青年)」

 と表記していただいても、何ら不都合はありません。争いごとは好まないし、捨て犬は拾うし、電車の席は譲るのが面倒なので、そもそも座らない。それが三遊亭萬都(穏やかな青年)という男です。

 なので思うのです――。

 ちょっと夏がかわいそうじゃない?

 みんなして「気候が穏やかになり、過ごしやすくなってきたので」やれスポーツの秋や読書の秋。どうかすると、「“やっと”過ごしやすくなってきたので……」とするものもありました。

 「やっと」は、ちょっとかわいそうじゃない? 夏と仲良かったじゃない、みんな? あんなに一緒に遊んでたじゃない?

 夏のヤツ、なんかした? なんかあったなら、僕から言っとこうか?

 「夏のテンションもそのままに! 秋も止まらないぜ! スポーツの秋!」くらいで、いいのではないでしょうか。

 どうですか? どうでもいいですね。