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58回目の豪華浪曲大会

「コソメキネマ」 第六回

人間国宝から103歳まで

 さて、今回の豪華浪曲大会サブタイトルが「一期一芸(イチゴイチゲイ)」。これは一期一会をもじった造語でして、「この日しか見られない芸を(だから来てね)」という気持ちを込めています。

 昼夜分かれていて、昼間のテーマは「東西交流」。

 関西の浪曲親友協会から、人間国宝の京山幸枝若師匠をお招きし、浪曲協会の天中軒雲月会長と東西協会の両会長が揃い踏みという目玉に加え、通常なら一席ずつの玉川奈々福師匠と、今年から浪曲協会にも所属された春野恵子姉さんの二人での掛け合い浪曲(御馴染み「瞼の母」)、富士琴美師匠の浪曲奇術(私も一回しか拝見したことがないので、なかなかレアではないかと)、曲師と三味線が弾ける浪曲師を取り混ぜての三味線大合奏、そして先日103歳になられた我らが玉川祐子師匠と玉川太福兄さんが祐子師匠作・演出の浪曲コントなどなど盛りだくさんな昼の部。

 余談ですが、「浪曲コント」は、仕事先から浪曲以外の演目を何かやってもらえないかというオファーを受けた当時94歳くらいだった祐子師匠が考えたネタです。初代の相方はなんと、私の師匠・港家小柳でした。好評で受けもよく、祐子師匠も大変喜んで、「コントをやろう!」とよく仰るようになり、その後、新宿の道楽亭さんや、何年か前の浪曲大会などでも披露しています。

 うちの師匠が相方が務められなくなった後も、コント熱が冷めない祐子師匠から、相方のオファーを何度か受けました。大変熱心に誘っていただくので、コントの稽古をしたことがあります。生粋のエンターティナーの祐子師匠、笑いを取ることに大変貪欲で、

 「まず、小そめちゃんが『おい、バアサン』と言って」
 「師匠に向かって、バアサンとは言えないです! 無理です! 無理無理~!」
 「なんで! バアサンて言ったら、お客さんがドッと笑うよ! 言いなよ! 面白いから!」

 と、なかなか譲っていただけません。確かにウケるとは思いますが、私の好感度はダダ下がると思いますので、相方は丁重にお断りいたしました。その後、太福兄さんが相方に就任、ほっといたしました。

 人間国宝から103歳まで、というバラエティ色豊かな昼の部はチケットの売れ行きが大変好調で、おかげ様で満員御礼、売り止めとなりました!

身長差も年齢差も大きい祐子師匠&太福兄さん(2020年、木馬亭の楽屋にて)