2025年11月のつれづれ(浪曲シネマ劇場、大利根勝子の登壇、真山隼人の奮闘、注目の公演)

月刊「浪曲つれづれ」 第7回

勝千代、幸太、新月&一秀 11月も熱い浪曲界

 東京以外の話題をもう一つ。

 日本浪曲協会と落語芸術協会に所属する三代目広沢菊春が、このたび関西の浪曲親友協会にも属することになった。10月の一心寺浪曲寄席が初お目見えで、相三味線の広沢美舟と共に三日間の出演を果たしている。この際、市内の高津神社において二夜の独演会を行った。二代目広沢菊春は大阪で梅中軒鶯童の門下にいたこともあり、ゆかりの地に錦を飾った形でもある。

 私は2日目のみ聴けたが、相撲ネタの「新門と梅ヶ谷」と大師匠譲りの落語浪曲「大山詣り」を口演した。新天地での浪曲だったが、のびのびとしたいい声っ節であったと思う。一心寺に出演するたびにこの独演会は開かれるようなので、機会があればお聴きいただきたい。

 11月の東京は前回も書いたように、1~7日の定席で2日に木村勝千代がトリを取る。師匠譲りの「芝浜の革財布」が掛けられる予定である。毎月、この定席期間中には玉川太福と真山隼人が夜に独演会を開いている。定席に出かける方はぜひこちらにも残っていただきたい。

 大阪の一心寺浪曲寄席は、8~10日である。こちらは京山幸乃、天中軒すみれ、春野恵子の女性陣を唯一の男性となる京山幸枝若が迎え撃つ構成になっている。

 23日には京山幸太が東京のお江戸両国亭で、初めての自主公演で独演会を開く。

 翌24日には前述の通り、真山隼人の「傾城反魂香」木馬亭公演があるのだが、同日大阪にも注目していただきたい。この日は13時より心斎橋角座で天光軒新月・五月一秀二人会が開催される。新月はここ数年、説経節の浪曲化に取り組んできた。五つの演目を浪曲化したということで、これが完結編となる。五月一秀は若き日の修業仲間であり、そうした意味でも天光軒新月の集大成となりそうな会だ。前読みとして三原麻衣子が出演、曲師は虹友美と藤初雪が務める。

 11月も浪曲界は聴き逃せない公演が目白押しなのである。

(以上、敬称略)

(毎月9日頃、掲載予定)