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優しさと知性で物語を紡ぐ 田辺一邑(後編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第20回

17回忌に込めた一門の決意

一邑 おかげさまで協会が社団法人化されましたが、潤沢に資金がある訳ではありませんから、ずっと継続していけるかどうか…。事務的な部分が大変なので、事務員が欲しいです……。

一邑 12月22日が命日なので、その前に盛大に開こうと一門で決めました。師匠は今の新宿永谷ホールの階上で暮らしていたことがあったので、師匠が生息していた(笑)同じ建物で開いて、みなさんに足を運んでいただこうと思ったんです。部屋を引き払う時、青玉(せいぎょく)姉さんと引っ越しの手伝いに行った、私にとっても思い出の場所です。派手なことが好きな師匠だったので、ひょっとしたら聴きに降りて来るかも知れません(笑)。

一邑 ゆかりのある品を展示する予定です。私は「寛永三馬術(かんえいさんばじゅつ)」の『愛宕山梅花の誉れ』の直筆のノートがあるので、それを。一門の講釈師がそれぞれ思い出の品物を並べます。着物も手元にあったのですが、お棺に収める時に着せてしまいました。

一邑 あれも師匠らしくて、独演会を開くということで会場を予約していたんですが、亡くなってしまったので、それなら予約していたところでお別れの会を開こうということになったんです。私も花を頼んだり、祭壇を用意したり、式場のあれこれを担当したりして準備を頑張ったんですが、当日、倒れてしまっていけなかったんです。

一邑 青玉姉さんの会で収録したものです。

一邑 師匠ゆかりの長州ファイブ、『英国密航』です。そう言えば、師匠は『三方ヶ原』で始まって『三方ヶ原』で終わった人生だったんですよ。

一邑 師匠が亡くなった12月22日は、三方ヶ原本戦の日(1572年(元亀3年)12月22日)なんです。前座がよくやる「内藤の物見」は前哨戦でこちらが本チャンの戦い。

一邑 師匠の高座の音を流したり、「伝承の会」で貞水先生が師匠のことを語ったことがあって、それをお借りして流そうとか考えています。