着物
「座布団の片隅から」 第8回
- 落語
三遊亭 好二郎
2025/12/07
着物は我慢だ!?
男性にオススメ!
今、岩手行きの新幹線の中で、この原稿をパソコンで打ち込んでいる。立ち席で!!
当日の切符購入で行けるだろう!と余裕をかましていたら、今日は満席で立ち席になってしまった……仕方がないから岩手までの道中、立ったまま原稿を書いている次第である。
今月のエッセイのクオリティにもし問題があれば、それは立ち席のせいだ。噺家は“座ってなんぼ”の商売なのだ。こんな状態では筆が乗らない(筆じゃなくてパソコンじゃん!という意見はシカトする)。
にしても、これから二時間半も立ちっぱなしとは……。なんとか座席のキャンセルが出ないものか。こんな時に着物移動はつらい。想像してほしい。とんびコートを羽織った着物の男が新幹線のデッキで立ったままパソコンを打つ姿を。
私は2022年11月から、普段着を着物に変えた。噺家の着物は仕事着である。サラリーマンにおけるスーツと同様で、ほとんどの噺家は普段着は洋服である。普段から着物の数少ない噺家のうちの一人が私の師匠、三遊亭兼好だ。私もそれに倣って着物生活を始めた。もう丸三年経ったことになる。時の流れはあっという間だ。新幹線はなかなか岩手に着かないのに……。
ここだけの話、着物生活はオススメである。特に男性。今回は着物生活にして良かったことと、悪かったことを列挙してみようと思う。まずは良かったことから。
・変な人に絡まれない
東京は怖い街だが、着物生活にしてからヤンキーや怖そうな人に話しかけられることがなくなった(おそらく向こう側から危ない人だと思われている可能性がある)。あと、フラッと入った飲み屋でもダル絡みされない。
噺家という商売柄、よく酔っ払いに絡まれるが、「なぞかけをやれ」「蕎麦をすすれ」「笑点メンバーのギャラを教えろ」といったウザ絡みをされにくくなった。一目見ただけで、本当に噺家だとわかりやすいからだろう。
・同じ着物を連日着てもバレない
なぜか着物だと、二日~三日同じ物を着ても変に思われない。だが、洋服だとこうはいかない。毎日同じ服を着ていると「もしかして洗濯してないのか?」と思われる。着物移動ならバリエーションが少なくて済むのだ!

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