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2025年12月の最前線【前編】 (「イベントスペース鈴丸」オープン、講談のオススメ入門書③)

「講談最前線」 第12回

志が結んだこけら落とし。神田松鯉、鈴丸に立つ

 そして、そのこけら落とし公演には神田松鯉が登場。墨亭開亭の時もそうであったが、大ベテランがこうした新オープンの小屋にご登場いただけるというのは名誉なことであり、松鯉にしてみても、南鈴の志をかっての出演であったはずで、エールという、何にも代えられないご祝儀を送ったということでもある。
 その時の公演の模様について、南鈴は以下のように感想を残している。


11月4日(火)
開場13:00 開演13:30

 『イベントスペース鈴丸こけら落とし公演』にはご縁がございます、人間国宝の神田松鯉先生がお祝いに駆けつけてくださいました。
 私の師匠四代目旭堂南陵は、私が入門5年目の時に亡くなりまして、それからは師匠の残してくださった講談の音源や本を頼りに、お兄さんお姐さんの力もお借りしながら勉強を続けて参りました。これからもっと、さらに勉強していきたいと思っておりました時に、神田松鯉先生とご一緒に出演させていただく機会がございまして、先生の講談を袖で聴かせていただき、言葉に酔いしれるというのはこういう事なんだなと強い感銘を受けました。
 またその後も東西交流の会で講談を教えていただく機会がございまして、それをきっかけに先生が東京で講談教室をされていらっしゃるというのを知り、私も勉強させていただきたいという思いをお伝えしましたところ快諾してくださり、少しでも先生の講談から吸収する事が出来たらと、大阪から東京まで月1回通わせて頂いております。
 そんなご縁もございまして、また、皆様からの心温まるご支援もいただきまして、人間国宝でいらっしゃいます神田松鯉先生が恐れ多くも、この20席足らずの小さな小屋のこけら落とし公演に出演してくださり、お祝いの乾杯のご挨拶もしてくださいました。皆様の応援と先生の温かいお心に涙が出ました。このこけら落とし公演の日の事は私は一生忘れません。
 この小さな『鈴丸』から大きな希望を皆様にお届け出来るようにこれからも精進して参ります。
 今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

 旭堂南鈴