2025年12月の最前線【前編】 (「イベントスペース鈴丸」オープン、講談のオススメ入門書③)
「講談最前線」 第12回
- 講談
- Books
瀧口 雅仁
2025/12/15
講談のオススメ入門書③
自分自身が関わる企画や書籍について記すのは、気恥ずかしいし、おこがましいことだが、講談の基本書籍として拙著を紹介させていただく。
講談を幅広く、そして奥深く知ることのできる、ある種の総合的な本はこれまでなかった。講談の歴史であれば歴史に特化し、演目であれば演目を知ることのできる、そういう本は幾冊かあり、資料的に価値の高い書もあったが、歴史も演目も講釈師についてもとなると皆無であったとしてもいいだろう。
何かそうした本がまとめられないかと思っていた時に、『古典・新作落語事典』を刊行した丸善出版から、今度は『講談事典』を!となり、まずは資料集めと、調査メモを取り始めた。
今となってはコロナ禍における、緊急事態宣言下の自宅待機がいい機会で、誰も訪ねてこない向じま墨亭の二階で、ン百冊の講談速記本を並べて、あらすじを追い、過去の資料を紐解きながらあれこれと調べていった。同じ頃、時間があったのは他も同じで、電話やメール、Zoom等を使って、知己の講釈師や研究者にあれこれと尋ね、結果として、「講談」の誕生以来の歴史、基礎知識、代表的な演目(種別・別題・あらすじ・解説)、さらに歴代の講釈師を中心にまとめ上げた。
取り上げた講談の演目は約600席。人によっては講談の数は数千あるとすることもあるが、刊行した後に新たに出てきた講談であったり、新作や創作、そして連続物をどう数えるか――たとえば『太閤記』であれば、いわゆる豊臣秀吉の生涯を描いた「本伝」の他、賤ヶ岳の戦いや山崎の戦い、そして朝鮮出兵といった軍記を細かく見ていくと、演目のボリュームは増していく――によって、数千席というのもまんざら嘘ではないなと思えてきた。
また、この手の本にありがちとも言える(?)、刊行してから判明する事実や史実等もあり、今でもそうしたものを拾い上げて原本に入れている最中で、墨亭の公演等で「講談事典」補遺を出している。
大阪の旭堂南海先生にお会いした時に、「この本を出すことで、また新しいことがわかってくるはず。そのきっかけになる本ですね」というありがたいお言葉を頂戴したのがその通りで、いずれ改版を!とは思っているが、それこそまずは講談のあれこれを知ることのできる一冊として紹介させていただきたい。
値段も決して安くはないが、講談について縦横無尽に調べ、知ることができるはずだ。何か質問や疑問があれば、私にお声掛けいただければ……という、アフターサービス付きでもあるので、ぜひ!
(以上、敬称略)
(毎月13日頃、公開予定)
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