旅の話
「お恐れながら申し上げます」 第11回
- 落語
入船亭 扇太
2026/07/11
米子空港でのお出迎え
10日間の大仕事
おはようございます。入船亭扇太です。
謝楽祭も無事に終わりました。大勢のお客様にご来場いただきましてありがとうございました。ほっとひと安心と思いきや、私には「寄席普及公演」という大仕事が控えておりました。地方に行って寄席の芸を見ていただくというものなのですが、10日間に及ぶ長丁場でした。今月は、この普及公演の中で印象に残っていることを書いてみようと思います。ご一読いただけますと幸いです。
寄席普及公演は、落語はもちろん、太神楽や紙切りなどの色物さんも一緒に行きます。文字通り、一座を組むわけです。今回は、私と江戸家猫八師匠、柳家三語楼師匠、鏡味仙志郎・仙成社中、お囃子のさき師匠と落語協会の事務局の方、そして座長が師匠扇遊でした。
向かったのは山陰地方です。師匠と10日間の旅です。私はちゃんと働けるのかしらと不安に苛まれていました。私が一番下っ端なわけですから、前座さんのような働きをしなければなりません。二ツ目に昇進して4年が経ちます。不安しかありません。私の中の「扇ぽう」(前座の時の名前)を呼び起こす必要があります。「起きろ!」と呼びかけても全然起きてくれません。「大丈夫だ…大丈夫だ…」と自分に言い聞かせて旅立ちました。

初日は、隠岐島(おきのしま)の島前(どうぜん)にある中ノ島の海士町(あまちょう)に行きました。フェリーに乗り込みます。船室を取っていただきました。中に入ってみると、だだっ広い空間が広がっているだけの部屋。毛布が1枚50円で貸し出されています。師匠が全員の毛布を借りてくれました。
船室を出ると茣蓙(ござ)を敷いて、その上に座っている人が男女問わずたくさんいました。逮捕、拘留、護送、送検など色々な言葉が頭をよぎりました。関係者の皆様、申し訳ございません。
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