新しい響きを持つ講談への挑戦 神田おりびあ(中編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第39回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/05/31
師匠の神田香織とともに
一時期、絶滅危惧種とまで言われるも、現在、東西合わせて120名を超えるまでになった講釈師。江戸から明治、大正、昭和と、主に男性が読み継いできた芸であったが、平成、令和と時代を経て、女性目線による女性の講談が世に送り出されてきた。その時、講釈師は何を考え、何を読んできたのか。第一線で活躍する女性講釈師に尋ねてみた。〈神田おりびあさんの前編/中編/後編のうちの中編〉
前編はこちら
人生を変えた師匠、神田香織の一言
―― そうなんですか。では、どうして、講談の道へ。
おりびあ 師匠の講談サロン(香織倶楽部)の忘年会があって、師匠と色々な話をしている中で、また師匠って、なかなか思っている本音を口にしないんですよ。でもその時、お酒を飲んでいたので本音が出たんでしょうね。「あなたは一般社会で勤まらないから、講談をやっちゃえば」って、その言葉が転機です。
その頃、何かをやるにはそろそろ年齢的にも……と思っていたんです。だから何かをやりたいという気持ちはずっとありました。音楽をやめるかどうかも考えましたが、結果として、音楽はやめるけど、表現することはやめたくなかった。仕事もしていないし、結婚もしていない。いつの間にか歳ばかり重ねてしまった……と。
―― それで師匠に「弟子になりたいです」と志願した。
おりびあ それが言ってないんです。いつの間にかなっちゃった(笑)。師匠が協会へ履歴書を送ったら、数時間違いで、辞めてしまった(一龍斎)貞太さんが兄弟子になっていたんです。あれやあれやと心の準備もないままに講談界へ飛び込みました。
―― 「おりびあ」という名前もその時に付いたんですか。
おりびあ サロンの忘年会の時に、琵琶を担いでいたので、それで「おりびあ」になりました(笑)。

インドを起源とする弦楽器である琵琶は、日本では五弦琵琶、平家琵琶、筑前琵琶、薩摩琵琶などいくつかの種類にわけられる。おりびあが取り組んできたのは、戦記や合戦を扱った作品を勇猛に演奏することの多い「薩摩琵琶」。今、釈台を前に軍談を読んでいるのは、ここにそのきっかけがあってのことだろうか。
おりびあの姉弟子・神田織音は、以前より錦心流琵琶(薩摩琵琶)の奏者との会を開いており、その会に足を運んだことが講談との縁を結びつけたと言ってもいいだろう。
では、講談界に飛び込んだおりびあはどんなことを講談に追い求めていくのだろうか。
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