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第十一話 「塀の中」

「令和らくご改造計画」

第十一話 「塀の中」

絵:大熊2号

三遊亭 ごはんつぶ

執筆者

三遊亭 ごはんつぶ

執筆者プロフィール

#1

 落語家という商売は、基本的に個人事業主である。

 一部の、いや、それどころじゃない、誰もが知っているような両手の指の数に収まるクラスの売れっ子になれば事務所があるが、それ以外のほぼ全ての落語家は、個人だ。

 お客様からすると、我々は寄席で一席15分。独演会だってせいぜい2時間。労働時間を考えると、かなりコスパの良い仕事をしているように映るかもしれないが、実を言うとこの仕事、落語以外の時間がかなり多い。

 稽古ももちろんだが、主催や会場とのやり取り、出演依頼への返信、スケジュール調整、チラシデザインの確認、請求書の発行、SNS更新、宣伝 etc.。

 そういった事務作業が、想像以上に多いのだ。

 一般的にプロのアーティストや、芸能人であれば、これらはマネージャーや事務所がやってくれるような仕事だろう。

 しかし、先ほど言ったような一握りの落語家を除けば、我々は、自分でメールを返し、自分で予定を組み、自分一人で全ての運営をする。つまり落語家でありながら、同時にマネージャーであり、事務員であり、といった具合だ。

 そして困ったことに、売れれば売れるほど、この事務作業は増える。そうすると本来なら落語に使いたい時間が、事務仕事に吸い取られていく。

 そうなってくると、優先順位はどうしたって「高座→事務作業→稽古」となり、その先にある、現代に必要と言われているSNSや動画発信などには、なかなか手がつけられない。

 なので、落語家というのは、

 「もっと発信したい」
 「もっと文化を広げたい」

 と思っていても、なかなかそこまで手が回らない。

 もちろん、ただ怠慢な人もいる。しかし、本当に時間が足りない人もいるのだ。特に、業界内で注目を集められる人ほど、発信する時間が少ないというジレンマが起きる。

 これは、どうにかならないものだろうか。