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第十一話 「塀の中」

「令和らくご改造計画」

#3

 刑務所へ向かう途中、偶然一人の人物と出くわした。

 算用亭でん馬(でんば)師匠である。

 「あれ、師匠!」
 「おや、奇遇だね」

 師匠はそう言って笑った。

 「もしかして……」
 「ああ。うちの馬鹿弟子に会いに行くんだよ」

 僕はどんな顔をして良いのか分からず、苦笑いを浮かべた。

 「実は僕もでして」
 「なんだい。じゃあ一緒に行こうか」

 そうして僕は、でん吉の師匠である、でん馬師匠と共に刑務所へ向かった。

 面会室へ案内される途中、看守の方が妙な話をしてくれた。

 「彼なんですがね」
 「はい」
 「壁中に、文字を書いていたんですよ」

 嫌な予感がした。脱獄計画か。あるいは世界に復讐するためのAIでも開発していたのか。

 しかし看守は続けた。

 「寿限無寿限無とか、たらちねの、とか、よく分からなくて」
 「……ああ」

 おそらく、それは言い立ての稽古だ。服役中、時間を無駄にしないように稽古しているのだろうか。

 でん馬師匠が言う。

 「稽古だけは続けるように言ってますんで」

 なぜかちょっと嬉しそうにしていた。

 そして、しばらくして面会室へ案内される。すると我々の前に、でん吉が現れた。

 でん吉は、でん馬師匠の顔を見るなり、

 「師匠、ご苦労様でございます!」

 と元気よく頭を下げた。

 ちなみに「ご苦労様です」は、この業界特有の挨拶なのだが、ご苦労様と言われるのは、状況的にお前の方ではないだろうか。

 第十一話 「塀の中」――