浦安の風が吹いている
「浪曲案内 連続読み」 第11回
- 浪曲
東家 一太郎
2026/05/20
今はなき「浦安亭」で絶大な人気を誇った、東家楽浦師匠(画:原えつお)
浦安亭という名の熱狂
山本周五郎の『青べか物語』に「浦粕亭」という寄席の名前が出てきます。
―― 浦粕亭へなにわぶしを聞きにゆこうとか、
と書いてある「浦粕亭」こと、「浦安亭」。
今回は、浪曲・浪花節がお世話になった浦安亭の物語っ、
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時間来るまで 務めましょう
浦安市郷土博物館では「浦安の大衆芸能」という企画展が、令和8年(2026年)3月21日から5月17日まで開催されていました。展示の中心は、浦安亭関連の資料。東家一太郎と東家美は、浪曲の資料提供という形で、関わらせていただきました。

かつて漁師町であった浦安は、芸事好きな町であり、人々はシケで漁に出られない日は、寄席・浦安亭に足を運んで大衆芸能を楽しんでいました。また、浦安のみならず、行徳や市川、葛西や船橋、遠方からも多くの人々が足を運びました。
浦安亭に出演する芸人にとって「浦安で手が鳴れば一人前」と云われており、認められれば拍手喝采、下手だと容赦なくヤジが飛んだり、舞台から引きずり降ろされたりするなど、登竜門のような場所でありました。
師匠の二代目東家浦太郎から、私も何度か浦安亭の話を聞きました。
「おじいさん(師匠の東家楽浦)と行ったことがあるよ。下手な演者が出てくると、なんとお客さんが舞台前まで飛び出して行って幕を閉めちゃうくらい、漁師さんの町だから気が荒くて芸に厳しかった」
ギャグ漫画のような、笑い話程度で聞いていましたが、その本質を今回、浦安市郷土博物館の企画展示と関連イベントで知ることができたのです!
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まずは 浦安亭の歴史から
ざっとお伝え いたします
明治43年(1910年)10月、熊川三五郎さんが現・フラワー通り(かつての一番通り)の奥、堀江185番地に、間口五間・奥行八間(約9m×15m)、木造二階建ての寄席を建てました。三五郎さん夫妻は魚介類の行商をしていましたが、大家族を安定的に養うため、寄席経営を考えたそうです。
数軒の長屋を買収して建てられた浦安亭は、千葉県から認可された許可番号第1号の寄席小屋。当初の定員350名から、二度にわたる増改築を経て、400人以上のキャパのかなり大きな会場となりました。場内は畳敷き、照明は大正初期に電灯になるまではランプでした。
当時、浦安には集会場がなかったようで、浦安亭は色々な使われ方をしていました。津波で学校が壊れた際の臨時校舎。成人式や選挙の演説会場、投票所。結婚式場、臨時のデパート。漁協の総会、健康診断の会場。もちろん夜にはトップスターが連夜出演していたという、いわば多目的な演芸場であったのです。
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