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浦安の風が吹いている

「浪曲案内 連続読み」 第11回

心を持って行く芸

 公演のあとのお見送りで、浦安亭のご家族に初めてお会いし、ご挨拶させていただくことができました。浦安亭で子供の頃に木戸を手伝っていたという熊川さんのご長女が、「楽浦師匠の名前が出てきて嬉しかった。声も聞けて懐かしかった。よく家に来て、お酒を飲むこともあった」と話してくださいました。

 また、特に啖呵がすごく上手かったと、駕籠かきがエイサー、ホイサと駕籠を担いでいくところの節までやってみせてくださり、私はお会いしたことのない楽浦師匠の話をこういう形で聞くことができて、ともに喜び合える幸せで胸いっぱいでした。

 そして、こんな話も教えてくださいました。

 当時、木戸にいると、お客様が終演後、帰り際に下足のところで感想を云って帰るそうなのです。楽浦師匠がトリの時には、「持って行かれちゃったよ」という意味の言葉を浦安の方言で云って帰ります。「持って行かれる? どういう意味ですか?」と訊ねると、「芸で心を持って行かれちゃった。それだけ感動したという意味よ」と。

 初代浦太郎による楽浦師匠の芸談とも繋がりますし、師匠の二代目浦太郎がよく云っていた「お客様(の心)にお土産を持たせて帰ってもらいたい」という言葉にも通じる、素晴らしい言葉だなと思いました。

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(毎月15日頃、掲載予定)