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2026年5月のつれづれ(談修・菊春二人会、奈々福の徹底天保水滸伝、孝太郎の記念公演)

月刊「浪曲つれづれ」 第13回

2026年5月のつれづれ(談修・菊春二人会、奈々福の徹底天保水滸伝、孝太郎の記念公演)

『談志百選』にも刻まれた家元・談志の浪曲愛を振り返る

杉江 松恋

執筆者

杉江 松恋

執筆者プロフィール

筋金入りの浪曲ファンだった談志

 本年は、落語立川流家元・立川談志生誕90年(ただし戸籍上。実際の生誕は1935年)、没後15年にあたる。これから関連イベントも開催されると思うが、浪曲史においても談志は忘れがたい功績を残した人だった。それを記念して5月15日(金)19時より「浪曲で偲ぶ立川流のルーツ」と謳って「談修・菊春二人会」を東京都荒川区のムーブホールで開催する。

 内容について触れる前に、談志がどのような浪曲ファンだったのかを振り返っておきたい。先日文庫化された『談志百選』(中公文庫)は、談志好みの芸人100組についての芸談集である。そこに三人の浪曲師が紹介されている。

 まずは二代目春野百合子(はるのゆりこ、1927年~2016年)。曲師・大林静子とのコンビで完璧な舞台を作り上げ、文芸浪曲の最高峰に昇りつめた人である。「現代どき、これほど格調の高い雰囲気の女芸人は少ない、いや居ない」と談志は言う。

 次の東武蔵(あずまむさし、1893年~1970年)については、曰く「日本一変わった節であった」と「音楽的にはとてもとても符にしようがない節」とその音楽性を高く評価する。現在玉川太福が持っている「明石の夜嵐」は、師匠・玉川福太郎経由で伝わった武蔵の外題だ。

 三人目に挙げた広沢瓢右衛門(ひろさわひょうえもん、1897年~1990年)は晩年になってからそのキャラクターで売れたが、理論家で「雪月花三人娘」「英国密航」などを作り上げた才人であった。

 と談志の言う松太郎はもちろん木村松太郎(きむらまつたろう、1898年~1985年)のことだ。