2026年5月のつれづれ(談修・菊春二人会、奈々福の徹底天保水滸伝、孝太郎の記念公演)
月刊「浪曲つれづれ」 第13回
- 落語
- 浪曲
杉江 松恋
2026/05/09
落語と浪曲を結ぶ贅沢な一夜
現在も活躍中の木村勝千代は、10歳で松太郎に弟子入りし、木村派の伝統を受け継いだ。談志の助力がなければ一旦引退していた松太郎が再び舞台に戻る機会はなく、勝千代が出会うこともなかったはずである。つまり談志のおかげなのだ。談志は松太郎を敬愛し、木村派の十八番から「慶安太平記 吉田の焼き打ち」を落語化している。弟子の内では、立川談春がその芸を見事に受け継いだ。
ここに名前が上がらなかった一人に、春日清鶴(かすがせいかく、1894年~1970年)がいる。談志はこの人が演じた「人情八百屋」を気に入り、落語に仕立てた。現在体調不良で休演中の立川談四楼が十八番にしているが、5月15日の会では立川談修が口演する。端整な芸の持ち主だから、きっと心震わせるような高座に仕上げてくれるだろう。
談修は、立川談志が生前最後に真打昇進を認めた直弟子である。この日はもう一席、「阿武松」を語る。相撲噺で、これも浪曲由来の談志ネタだ。

共演の三代目広沢菊春は、故・澤孝子(さわたかこ、1939年~2022年)の弟子だ。澤孝子は浪曲師の中でも特に談志と親しく、長年にわたって交流があった。またその師匠、つまり菊春にとっては大師匠にあたる二代目広沢菊春(1914年~1964年)は、落語の寄席を主な活躍の場としていた。座り高座で、落語浪曲を演じたのである。

その芸を継承すべく、菊春や姉弟子の澤雪絵も奮闘している。二代目は池上勇の筆名で多くの浪曲台本を書いており、東家三楽一門や玉川福太郎一門の手がける「陸奥間違い」もその一つだ。二代目菊春の芸は落語と浪曲をつなぐ重要な道筋であり、二人にはぜひ研鑽を願いたい。
5月15日の菊春は、二代目の外題から「甚五郎の蟹」、そして談修の「阿武松」に合わせて相撲ネタの「梅ケ谷江戸日記」を掛ける。都合四席、ぜひお聴き逃しなく。手前味噌の宣伝で誠に恐縮ながら、ご来臨いただければ幸甚である。

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