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上方講談の伝統を未来へ繋ぐ、継承者にして開拓者 旭堂南華(後編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第37回

上方講談の伝統を未来へ繋ぐ、継承者にして開拓者 旭堂南華(後編)

前列左より南華、南鱗、南北、後列左より一海、南湖、南海、鱗林(なみはや講談協会HPより)

瀧口 雅仁

執筆者

瀧口 雅仁

執筆者プロフィール

法人化の現実

南華 今年(2026年)の3月で、2年間で22回やった演芸会を一旦終えました。今年は文化庁からいただける基金で会を開催し、夏には「南陵忌」を派手にやるのと、法人にした時にそういうのをやりたいと思っていた東西研鑽会を12月に開催したいと思っています。

―― 研鑽会は、東京では開かないんですか。

南華 東京では、その予定はありません。大阪の場所はおさえたんで、まだ出演者は頼んでないんですが、12月20日の日曜日の昼間に開催します。東京の中堅と呼ばれる先生に出てもらいたいですね。上の人とばっかり交流してるので、御大とも会はやりたいですけど、中堅くらいの先生に来ていただいて、もっとうちの講談師にも勉強してもらいたいし、お客さんにも東京とはネタが違うので楽しんでもらいたいですね。そこからまた講談の楽しさが広がっていくと思っています。

―― 今、話にも出ましたが、法人化されて助成金とかもらいやすくなりましたか。

南華 それはどうやろ、助成金ももらえる額は意外とタイトですから。ですが、若手を育成する制度とか、色々な制度があるので、毎月はレギュラーの会があるのでしんどいんですけど、審査に通るものは通るので、そういうのをうまく利用させてもらいたい。

 でもね、書類を作ったり、申請したり、報告をしなければならなかったりと、人手が足りないんですよ。だからといって雇う余裕もないですし、税理士と行政書士さんにはしっかり入ってもらっているんですけど、南海が一番、仕事量が多くて大変で、申し訳ないです。今はホームページとかから来る仕事は私がざっくりと、この仕事は誰、この仕事はあなたとやってますが、軌道に乗りさえすれば、そういうところは専従の人にお願いする。そうすればもっと事業が広がると思っているところです。

―― 人数が増えてくれば、余計にそういったことを考えなければならないかもしれませんね。

南華 今は家族みたいにやってるけど、どうなるかわかりませんし、始めたんだからやってみなければわかりません。「講談って……」と思われたくないですし、ちょっとでも勢いがあるところを見てもらいたいという気持ちはあるんで、「なみはや講談協会」という名前をもっとあっちこっちで見てもらって、去年はやったことがない場所で、会を開いてきました。

 会をいっぱいやるためには、チラシを配らないけませんし、この間も下座のお姉さんから「チラシをあちこちで見るけど、その人数でやっていけてんの。回せてんの」言われたんで、「めちゃくちゃ大変やで」って。お客さん呼ぶのも大変やし、今、名前を売っていかんと、後がないという気持ちで、せっかく法人にもして、大阪に講談の協会が三つある中でうちだけが法人ということで、少しは信用度が増してきてると思いますし、できることは色々やろう思うてます。

 この間もワークショップやりたいんですけど、予算があんまりなくて……という時には、私と一海で行ったりして、ホンマに今は名刺をいっぱい配ってます(笑)。だから、この間の芝居でも、名前の後に「講談師とか、何か入れる?」聞かれて、そこは「なみはや講談協会にして」って。そうすればそれ見たお客さんは「なんやろ」思うでしょうから調べるでしょう。だからこれからはどんどん他流試合もして、「なみはや」の名前を出したい!

 大阪で講談って言ったら、「揉めてるところやね」言われんと、「なみはやだね」と言われたい。そこに一海の名前が出ていたら、「あ、一海さん出てはんのや、行こう」って言ってもらえるように、一海にはもっと脚光を浴びてほしい(笑)。後は道場(講談スクール)もどんどんやっていきたい。私も道場出身だし、南海までは道場出身なんで、裾野を広げたい。