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「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第37回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/05/03
上方講談三団体のこれから
―― 東京でも(宝井)琴調先生が今後は若手を育成していきたいと話していました。
南華 法人化で苦労されていることがわかります。琴調先生は普段から優しくしてくれますし、話も稽古してくださって、何しろ気前がいい。だから何でもやってしまうんですよね。気前がいいというのは素敵なことです。陽子先生も琴星先生も、自分の持っている芸を後輩に惜しみなく教えてくださいます。ありがたいことです。
現在、上方の講談界は、三つの団体と、そこには属さずにフリーで活動している講釈師からなる。細かい分裂の経緯はここでは避けるが(拙著『講談事典』を参照)、南華の師匠である三代目旭堂南陵が「上方講談協会」を創設し、1979年(昭和54年)に正式に組織化。
その後、2003年(平成15年)に協会内で内紛が起こり、当時の三代目旭堂小南陵(四代目南陵)らが同協会から除名され、「大阪講談協会」を設立。2017年(平成29年)に旭堂南鱗以下の三代目南陵一門の講釈師が上方講談協会から離れ、「なみはや講談協会」を設立した。
―― 今、そんなことを聞いたばかりなのですが、昨今の上方講談界に関して思うことがあればお聞かせください。どうなっていくんでしょうか。
南華 どうもならないですね。このままやと思います。
―― このままでいい……という訳ではないんでしょうが、このままが一番安定しているということでしょうか。
南華 どうしたいんですかね。「みんな仲良く一緒に会をやったらどう?」みたいな感じのことを言うてきはるんですけど、今、みな各々楽しくやってますし、素人のお弟子さんを沢山作って、旭堂の名前を上げたりしたりと、それぞれの考えがあると思うので、それに何か言うことはありません。
―― 私が心配しているのは、派閥を広げることに夢中になって、セミプロみたいな人や社会人落語家みたいな人にプロの資格を与えて活動させていることです。やはりそういう人は、プロとは異なるので、一線引くべきだと思っています。
南華 そうですね。基本的な弟子修業をしていない人は、カウントしない。危惧するのは、素人みたいな人でも着物を着てプロみたいな名前がついてたら、一般の人はプロと思うから、それを線引きしていかなアカン。そういうことを言う人もいますが、それもキリないし、そこは難しいとこですね。イヤな気はするけど、それをやってる人にやめろ言うても、せんないわけで……。私は入門してから師匠の言うことは絶対と教わってきました。師匠によるかも知れませんが、それが師弟やと思ってます。今は、いろんな考えの人もいるので「へぇー」と思うこともあります。自分の育ってきた時代を押し付ける気はないですが。
―― プロの師匠が弟子という人にプロの名前を上げてしまったら、それはプロとしてのライセンスを上げてしまったことと同じですし、名前を名乗るということは、そこにプロとしての意識があるのかないのかに繋がってくると思っています。
南華 そうなんですよね。そこがおかしいんですよね。名前に関しては私と同じ名前の人がいたりと、思うところはあります。弁護士さんからアドバイスはもらいましたが、もう気にしないことにしてます。元はと言えば、私がそこまで有名じゃないからこんなことになってるとも思いますし、それなら私が名を上げないかんと思っています。
陽子先生も「向こうを下げるのではなくて、自分を上げるの」言うてくれるので、それを座右の銘にしています。人の悪口言うてもせんないことですし、人の悪口言うて、自分の芸が良くなる訳ではありませんから。だから今はお互いに三つの団体が自分のエリア内で、あんまり関わらないで棲み分けをしていければいいと。これは会長というより、南華の意見ですが。
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