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なぽりたんといっしょ

「ずいひつかつどお」 第10回

なぽりたんといっしょ

絵・フジマリ

立川 談寛

執筆者

立川 談寛

執筆者プロフィール

 ジェネレーションギャップを常に意識している。なんだかんだでもう厄年も済ませているほどなので、たとえ少年の心を持っていたとしても、“中年なのだ”という事実を忘れてはならないと思いながら日々を過ごしている。ガリガリ君の当たり棒にときめこうとも、チョコボールのくちばしに光る金のエンゼルを見つけて嬉しさのあまりかっぽれを踊ろうとも、中年は中年であり、からだはおとな、頭脳は子供の逆コナン君なのだ。

 なんだかここのところ、白髪がますます増えたような気がする。おそらく披露目関連の慣れない事務仕事によるストレスが原因だろう。そのうち全白髪になるだろうが、その際は髪を長髪にして頭の毛を全て逆立て、有名な書道家の先生に筆として使ってもらおうと思う。

 人間の記憶というのは不思議なものだ。あの日あの時あの場所で君に会えなかったとしても、実は会っていたと置き換えてしまうことがある。マクラで少し大げさに話を作り、何年も同じようにその話をし続けているうちに、本当にそれが事実だと上書きされてしまう。私はそんな経験はないが、そういう人を見たことはある。脳に無駄な負担をかけないためか、都合よく記憶が“改竄”されていくのだ。同じ場所で同じ経験をしている人が隣にいれば、上手に修正してくれるかもしれないが、大概は置き換わった記憶のまま、お墓まで持っていくことだろう。

 間違って覚えた言葉は、一生直らない。私を産んだ一親等の人もそうだ。スパゲッティを「スパゲッティ」と言わず、「スッパゲティ」と言うのだ。そもそも正解がスパゲティなのかスパゲッティなのかもわからないし、近頃ではパスタが市民権を得ているので、スパゲッティと発声することも少ない。だがスッパゲティが不正解なのだけは間違いないはずだ。子供の頃から何回も訂正してきたが、ついぞ直ることはなかった。