祖母と娘と、変わらないホットケーキ

「かけはしのしゅんのはなし」 第8回

 私のホットケーキの思い出は、蒲田にあります。

 祖母が鵜木に住んでいたところから、よく蒲田の東急プラザ屋上の遊園地に連れて行ってもらいました。そこで目一杯遊ばせてもらったあと、楽しみだったのが4階にある純喫茶「シビタス」のホットケーキでした。

 銅板で1枚ずつ丁寧に焼かれたホットケーキは、絵本の世界から飛び出たかのよう。銀のクリーマーにたっぷり入ったシロップをドバドバっと掛けて、夢中になって食べている私を笑顔で見ている祖母の姿を覚えています。

 あれから30年の月日が流れました。祖母も90歳を超えていますが、落語会を見に来てくれています。

 先日、「シビタス」に行きました。

 思い出というのは美化してしまうもので、少し怖さもありました。お店に近づくだけで子どもの頃に戻ったような感じになります。

 店内はほぼ満席。カウンターに案内されます。テーブル席には家族連れ。小学生ぐらいの子がうれしそうにホットケーキを食べています。

 注文したホットケーキが到着。30年ぶりの対面。焦る気持ちを抑えて、一口サイズに切ったホットケーキにバターを塗り、口に入れる。子どもの頃と変わらないおいしさでした。

 30年前の子どもの頃に戻ったような、うれしい気持ちでお店を出ました。大きく変わっていく世の中で、ずっと変わらないものがあるのは幸せですね。

 ホットケーキで、ほっとするお話でした。

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  • シリーズ : こぐまちゃんえほん
  • 著者 : 若山憲
  • 出版社 : こぐま社
  • 書店発売日 : 1972年10月
  • ISBN : 9784772100311
  • 判型・ページ数 : A5判・22ページ
  • 定価 : 990円(本体900円+税)

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(毎月18日頃、掲載予定)

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