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愛と裏切りのぬか床生活

「テーマをもらえば考えます」 第6回

 芸人の仕事には「旅」があります。要するに、泊まりの仕事です。1泊くらいならまだいいのですが、2泊以上が月に何度か続いた時に案の定、サボりグセがついてしまうのです。

 そして、ぬか床は冷蔵庫待機が「日常」になってしまい、冷蔵庫の4分の1を占拠していました。なにしろ、大きな樽だから。

 ちょいちょい開けて混ぜてはいたのですが、半年ほどたったある日。

 「ぬか床、鬼押出し(おにおしだし)みたいになってるじゃん。溶岩だ!?」

 そう、ぬかは生き物です。慌てていろいろ調べましたが、どこまで傷んでいるか分からないので、すべてお見送りしたのです。

 「もうこの過ちを繰り返してはいけない!」

 自業自得で勝手に傷心した私は、ガックリと膝をつき、残された樽は台所の隅で今もヒッソリと鎮座しているのです。

 みんな! ぬか床は家族だから!! 大事にしないとダメだね!!!

 そんなだらしないワタクシですが、昨年末にぬか床をまたやったのです。ひと月だけですが。毎月やっている落語会の打ち上げで、お客様が持ってきた焼酎の瓶が陶器だったんです。

 「このくらいの大きさなら、ぬか漬けできるかなー?」

 単なる世間話だったのですが、この時、私は決めたのです。

 『本当にやって、嫌がらせ(?)してやる!』

 なぜそう思ったかって? 今となっては自分でも分からないのですが、そういうムダをしたくなる人間なのですねー。次の日から、十数年ぶりのぬか床生活ですよ。しかも今回はゼロからなので、何回か“漬け捨て”をして育てなくてはいけません。