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「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第27回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/03/12
三代目松林伯知、近影(日本講談協会HPより)
一時期、絶滅危惧種とまで言われるも、現在、東西合わせて120名を超えるまでになった講釈師。江戸から明治、大正、昭和と、主に男性が読み継いできた芸であったが、平成、令和と時代を経て、女性目線による女性の講談が世に送り出されてきた。その時、講釈師は何を考え、何を読んできたのか。第一線で活躍する女性講釈師に尋ねてみた。〈松林伯知(しょうりんはくち)先生の前編/中編①/中編②/後編のうちの前編〉
子ども時代に育んだ「聞く力」
最近、改めて、講談は温故知新の芸であると思っている。江戸期から伝わる、いわゆる古典講談(軍談や時代物)ばかりでなく、明治の世を迎えて盛んになった世話物。そして新作講談に創作講談。現在でも新しい話が次々に生まれる一方で、埋もれていた話や、かつて流行った話を今風にアレンジして聴かせる講釈師もいる。
その代表とも言える講釈師が、明治期に新作講談で名を馳せた「松林伯知」の三代目を襲った現・伯知である。自ら「オタク」と称するも、その温故知新の高座の魅力は、単に歴史好きの思いが反映されるばかりでなく、のめりこんだらトコトンまで、そのテーマを追求する探究心にある。そんな当代伯知がこれまでどんな半生を歩み、自分の目指す講談と巡り合ってきたのかを、今回、たっぷりと尋ねてみた。
―― 伯知さんと言えば、興味の幅も広く、それが講談にも活かされているといつも思っているのですが、それは幼少期の過ごし方もあったのではと想像しています。いきなりの質問になりますが、どんな子どもだったんですか。
伯知 アニメに歌にゲームと、マニアックな子どもでした。特にお話を聞くのが好きで、幼児向け教材のカセットでアニメや特撮の特集があると、その前に短いキャラクターの語りが入っていたりするんですが、それを何度も繰り返し聞いて、真似たりもする。これは母親から聞いたことなんですが、読んだ本をオリジナルの設定にして喋ってやっていたよと。学校でも、自分の書いた絵に文をつけて、冊子みたいに作って配ったりしていました。

(松林伯知・提供)
―― その頃から人前で自分の作品を披露していたんですね。
伯知 それでも聞くほうが好きでした。地元で開催されていた親子劇場へ母親がよく連れて行ってくれたんですが、私は中でも「劇団飛行船」が好きでした。NHK教育テレビも大好きだったので、歌ったり踊ったりする人形劇やマスクミュージカルが楽しかったんですよね。でも芝居をやりたいというのではなく、見て楽しむほうでした。
本を読むのも好きで、マンガとかでも、その当時、ドラマCDとかアニメ系のオリジナルラジオドラマが深夜放送されていて、文化放送やTBSラジオのアニメ番組、NHK-FMの「青春アドベンチャー」といった番組をチェックして、それを録音して聞いていました。だから、話をめちゃくちゃ聞きまくる子どもでした。
―― 楽しんで聞いてきたという経験が今、読んでいるような聴き手が楽しめる講談に繋がっているのかも知れませんね。
伯知 一番繰り返し聴いたのは『ドラゴンクエスト4』のドラマCDでした。3枚組の長編で、ナレーターが石坂浩二さんでした。物語の章立てごとに主人公たちが登場して、それが仲間として全員が揃っていくのにワクワクしていたんですが、『南総里見八犬伝』や立川文庫で人気のあった『真田十勇士』みたいですよね。音で聴いて、次は小説版で文字で読んでといったことをしていました。
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