古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(前編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第27回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/03/12
ゲームと講談の意外な共通点
―― 私は世代的にはラジオやゲームの世代なのに、ほとんど経験してこなかったのでわからないのですが、ゲームにも影響を受けていますよね。
伯知 クラスの男子に交じって、みんなでマリオカートをやってたりしていました。
―― 男子と遊ぶことが多かったんですか。
伯知 もちろん女子ゲーマー友だちもいたんですが、人数は少ない。どうやったら『ボンバーマン』の4人対戦で遊んだらいいんですか!(笑) 昼休みにはゲームの攻略法を侃々諤々。“ゼノギアスのギア戦、燃料切らさずに戦うには……?”とか、ほかのクラスの男子も招集して、作戦会議みたいな(笑)。「田中さん(本名は田中真弓)は、男子とばっかり遊んでる」と言われました。
でも女子高に進んだら、今度はそういう人ばかりが集まっていたので、さらに夢中になって、それにRPGとかだと、主人公が成長をしながら敵を倒していくといった仇討物(あだうちもの)が多かったりしますから、今思えば、講談的なことをやっていたんですね。
―― その経験は、決して無駄になっていない(笑)。
伯知 ゲームは、講談に一番近いかも知れません。『SILENT HILL(サイレントヒル) 4』というホラーゲームがあるんですが、その特典に一龍斎貞水先生のCDが付いていたんです。「響談(きょうだん)」というんですが、「村井長庵雨夜の裏田圃」の改作のような話で、それが私にとって“講談というものがあるんだ”と意識した、一番最初の講談との出会いでした。
実は、それ以前の小さい頃にも、二代目神田山陽の『牡丹灯籠』のCDを、図書館で借りて聴いていたんですが……、その時は講談とは知らず、昔ばなしのお話のCDだと思って聴いていたという(笑)。
―― 話は面白いと思いましたか。
伯知 その頃、既に人間国宝でいらっしゃいましたから、とても興味がありました。人間国宝がゲームを、SILENT HILLを語ってくれるの!? マジで? と(笑)。それに私は、怖い音を聞いて感じる脳内ビジュアルの気持ち悪さが好きで、その音が物語とピッタリと合っていたので、カッコよかった。講談ってカッコいいものだと思いました。
―― それから講談を聞きまくり始めたんですか。
伯知 講談は、そうですね。それより少し前に落語に出会ってまして。『伊集院光 深夜の馬鹿力』のリスナーだったんですが、立川談志師匠がゲストの回があって、私は落語のことは何にも知らなかったんですが、この時『談志・圓鏡の歌謡合戦』をリスペクトしたようなコーナーがあって、談志師匠が「談志三大料理」を即興で答えるという場面があったんです。その答えが“キリンのレバー・バナナのせとんがらしがけ、こりゃぁオツなもんだよ”(笑)。爆笑して、落語に興味もってCDを聴くようになり……、伝統話芸というのがあるんだなーと知ったところで、次にゲームきっかけで講談を意識できたという感じですね。

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