NEW

新釈浪曲忠臣蔵 ~202X年赤穂の旅

「浪曲案内 連続読み」 第10回

278年も愛される最強コンテンツ

 忠臣蔵・赤穂義士伝は、それだけ浪曲演目の中で核を占めています。黒紋付を着て、格調高く、赤穂義士の物語を三味線とともに朗々と語り、熱い想いでうなる。良い作品をできるだけ増やして、浪曲師人生、生涯かけて演じていきたい、ライフワークジャンルの一つです。

 昨年の12月14日、討ち入りの日に、広島県三原市芸術文化センター ポポロで開催された「The 忠臣蔵 ~話芸で楽しむ忠臣蔵」という公演に出演させていただきました。東家一太郎、曲師・東家美は「大石東下り」をつとめました。

 この三原市は、『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』の作者、並木宗輔(なみき そうすけ)、別名・並木千柳(なみき せんりゅう)という作家先生ゆかりの地です。

 並木宗輔は、三原市にある臨済宗のお寺、成就寺(じょうじゅじ)の僧侶でしたが、30歳の頃に還俗して(そんなことできるんですね)、大坂に移住し、人形浄瑠璃(文楽)と歌舞伎の劇作家としてその才能をあらわします。特に『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』『仮名手本忠臣蔵』は三大名作とされています。

 これらの台本はチームを組んで書かれている合作ですが、そのリーダーとして、一番の山場を書いていたという大先生です。

 『仮名手本忠臣蔵』は、寛延元年(1748年)8月、大坂竹本座にて初演ということですので、現在まで278年間も上演されつづけ、メディアを変えても現代に親しまれているという、いわば最強コンテンツ。

 浪曲師から国民的な歌手になった三波春夫先生。長編歌謡浪曲「元禄名槍譜 俵星玄蕃」という偉大な作品を世に残されましたが、三波先生の書いた本に『真髄 三波忠臣蔵』(小学館文庫)という名著があります。

 その冒頭に、

蔵の中には何がある?
そう、赤穂浅野家の蔵を開けて見たならば、忠臣(ちゅうしん)が四十七人もいたのです。つまり、忠臣蔵とは「忠義な家臣の内蔵助」という意味ではなく、「忠臣がいっぱい詰まった蔵」ということなのです。

 と書かれています。