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新釈浪曲忠臣蔵 ~202X年赤穂の旅

「浪曲案内 連続読み」 第10回

現代にも通じる人間ドラマ

 さて、AIに忠臣蔵をざっくり解説してもらいますと、

①事件の始まり……江戸城で浅野内匠頭というお殿様が、いじめっ子の吉良上野介にブチ切れて斬りかかり、自分だけ切腹させられた。 

②浪士の決意……職場(藩)を失った元家臣たち(赤穂浪士)が、「殿様だけが罰せられるのはおかしい!」と怒った。

③討ち入り……約2年間の準備を経て、四十七人のメンバーが雪の夜に吉良の屋敷へ突入。見事に仇討ちを果たし、最後は全員が潔く切腹した。

 このざっくりストーリーの間に、さまざまな人間ドラマが詰まっているのです! 創作次第で現代人がうなずける新たなドラマも挿入できます! なんと素晴らしいコンテンツ。

 浅野内匠頭が吉良上野介に斬りかかった理由こそ、とても現代的。吉良のコンプライアンスを度外視したイジメパワハラモラハラ。お金(賄賂)とプライドも絡んだ人間関係の疲れに病んでしまった浅野。人間のやってることはいつの時代も変わらないですね。

 内匠頭は癇癪(かんしゃく)を起こし、堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒がキレてしまう。それがために、自分が切腹だけならまだしも、お家断絶、赤穂藩取り潰しになり、家族や家臣、従業員が路頭に迷ってしまうわけですから、「藩のトップとして、それはどうなの?」と思いますが、よっぽど悔しかったのでしょう。人間の心というのはおそろしいものです。

 今回、はじめて広島県の三原市で公演の機会をいただきましたので、忠臣蔵を深く学んで、大石内蔵助(おおいし くらのすけ)や赤穂義士の心を知って三原での舞台に生かそうと、東京から車で向かいました。公演前々日に赤穂城へ立ち寄るためです。大石東下りを逆ルート。江戸から赤穂までの距離や内蔵助たちの心境を感じるためには、新幹線に乗っていられません。

 早朝に東京を出て、夜に兵庫県赤穂市に到着。播州赤穂駅前のホテルに泊まりました。朝食でコーヒーを飲もうと、よくありますよね、ドリンクバーにあるようなボタンを押すとコーヒーが出てくる機械です。紙コップを置いてボタンを押すと、バァッッ! 0.2秒でコーヒーがしぶきをあげながら、紙コップを満たしました!

 さすが短気で名高い浅野内匠頭のお膝元、赤穂のホテル。『コーヒーがチョロチョロ出てくるのが待てないのか!』と思いましたが、赤穂の人たちがみんな短気なわけはありません。失礼なことを云って、ゴメンナサイ。

 しかし、0.2秒は便利です。アートコーヒーのコーヒーマシーンでした。