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地獄

「座布団の片隅から」 第12回

地獄

そう、このバスツアーは、まさかの……

三遊亭 好二郎

執筆者

三遊亭 好二郎

執筆者プロフィール

 この間、ひょんなことから、春風亭㐂いち兄さん、柳家小はだ兄さん、三遊亭歌彦さんと僕という4人でスキーに行ってきた。

 実に18年ぶりのスキーだろうか。最後に行ったのは、修学旅行で長野に行った時だったと記憶している。スキーのウェアを揃える段階から、ワクワクである。そう、三遊亭は形から入るのである。しかも気の置けないメンバーと行く旅。いわば、大人の修学旅行とでも言おうか。

 東京から長野のスキー場まで、朝からバスツアーで移動するプラン。なんとスキー板のレンタル代込みで、6400円!! 安い……。一体どうなっているんだ!?

 だが、このプランの裏側には、とんでもない秘密が隠されていた!!

 その日は、池袋のバスターミナルに朝の6時40分に集合。前日まで飲み会が続いたこともあり、僕は寝不足である。あやうく寝坊しそうになったが、なんとかバスに乗り込む。前の席に㐂いち兄さんと小はだ兄さんが並んで座り、その後ろに僕と歌彦さんが座る形になった。

 スキー場までは片道およそ4時間のバス旅なので、そこで睡眠を取って体力回復しよう。あ、でも……先輩たちがはしゃいでお菓子パーティとか始まったら起きてなきゃ……なんて考えていたが、それは杞憂に終わる。㐂いち兄さんが座席に座ってすぐに言った。

㐂いち 「じゃ、俺は寝るから。それぞれ過ごそう」

 ありがてぇ! 兄さんが寝るなら後輩の我々も安心して眠りにつける。こういう時の㐂いち兄さんは頼りになるのである。安心して目を閉じた。運転手さんもとても良い人そうで、運転席からインカムを使って、出発のアナウンスが始まる。

 しかし、それが地獄の始まりであった……。